人材採用
2023/09/04
失敗しない採用のペルソナ設定を元人事担当が解説
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採用のペルソナとは?
採用におけるペルソナとは、採用する人物の「性別・年齢・現職・家族・年収・ライフスタイル・趣味」といった情報を設定し「採用したい架空の人物」を作り出すことを言います。ペルソナを設定したうえで採用することで、より自社にマッチした採用ができ、入社後のミスマッチを防ぐだけではなく、早期退職防止にも効果的です。
ペルソナとターゲットとの違い
似たような言葉で「ターゲット」という言葉がありますが「ペルソナ」とは別の意味で使われています。
- ターゲット
ターゲットとは「年齢・男女・経験・希望年収」など、属性で絞り込むことをいいます。たとえば「30代」「男性」「営業経験あり」「年収希望400万円から600万円」のように、要素に幅を持たせた設定をすることターゲットと呼んでいます。
- ペルソナ
ペルソナとは、ターゲットよりも範囲を狭めて具体的な人物を設定することをいいます。たとえば「山田太郎」「35歳」「男性」「既婚」「共働き」「年収500万円希望」「営業チームリーダー」「趣味はランニング」「今勤めている会社は業績が悪く、将来が不安で転職を考えている」のように、架空の人物を作り出す手法です。
こうすることで、採用したい理想の人物像がより明確になり、会社にマッチした人材を採用しやすくなるのです。
採用のペルソナを設定するメリット・デメリット
次に採用のペルソナを設定することで得られるメリットとデメリットについて詳しく解説します。
ペルソナを設定するメリット
採用のペルソナを設定することのメリットは次の2つです。
- 自社に合う人材を採用しやすくする
- 入社後のミスマッチが防げる
それぞれを詳しく解説します。
自社に合う人材を採用しやすくする
ペルソナを設定することで「採用したい理想の人材」がハッキリと見えてきます。選考を進めるとペルソナが採用の基準になるため、理想の人材に近い人を採用することができるのです。
入社後のミスマッチが防げる
ペルソナを設定することで、求人票を掲載する段階で、採用したい人材がどんな経験やスキルが必要なのかを具体的に書くことができます。また面接のときも、ペルソナに合わせて質問内容を考えることができるので、採用された従業員のミスマッチを防げる可能性が高くなります。
ペルソナを設定するデメリット
ペルソナを設定するデメリットもあります。主なデメリットは次の2つです。
- こだわりすぎると該当者がいなくなる
- 設定を間違えると採用にミスマッチが起こる
それぞれを詳しく解説します。
こだわりすぎると該当者がいなくなる
ペルソナの設定が理想の人物すぎて、該当者が見つからないこともあります。
これは、私がいた会社で実際に起こったことですが、設定したペルソナの理想が高すぎて採用するまで2年かかったことがありました。現場で働いている従業員は、人手不足で悩んでいるにも関わらず、現場の上長と人事部で設定したペルソナがあまりに現実離れしており、なかなか採用ができなかったケースです。最終的にこの案件は、現場の上長が異動したことですぐに採用が決まりました。
設定を間違えると採用にミスマッチが起こる
ペルソナの設定を間違えると、ミスマッチが起こります。
こちらも私がいた会社で実際に起こったことになります。現場の上長と人事部の間では、新規事業のリーダーをペルソナとして設定していました。しかし現場では実務ができる専門家を必要としていたのです。なぜこのようなことが起こってしまったのかというと、当初ペルソナを設定した段階と、採用した段階で事業の方針が変わったためです。ペルソナを設定してから時間がたった場合は「今必要な人材」にペルソナの設定を見直すことも必要になります。
さらに採用について詳しく知りたい方は「【採用担当者必見】入社後すぐに活躍!中途採用を成功させるポイント」をご確認ください。
採用のペルソナを設定の流れ
ペルソナを設定するにあたり「こんな感じの人がいいな」と理想像だけで作っても意味はありません。一般的には次の流れでペルソナを設定していきます。
- 目的を明確に設定
- 現場とヒアリング
- 仮ペルソナの認識をすり合わせる
- 設計したペルソナを元に募集・選考を行う
それぞれを詳しく解説します。
1.目的を明確に設定
ペルソナを設定するうえで重要なのが「なぜ採用が必要で、どういう人材が必要なのか」を経営陣とすり合わせることです。経営陣が今何を考え、どういう事業を展開していくかなど、経営陣の意向を加味しながら「採用をする目的」と「理想像」を共有します。その後は人事で経験やスキル、人間性などの枠組みを作っていくという流れです。
2.現場とヒアリング
人事である程度の枠組みを作ったら、配属予定の現場とヒアリングを行います。「年齢」「スキル」「性格」「趣味」「家族構成」など、現場の意見を聞きながら細かく設定し、仮のペルソナを作り上げていきます。
3.仮ペルソナの認識をすり合わせる
仮のペルソナが完成したら、認識がずれていないかを、再度経営陣や部門長などとすり合わせます。仮のペルソナを作った段階で「こんな完璧人間いる?」というようなことが起こることがあるからです。妥協できる点も考えながら最終的なペルソナを完成させていきます。
4.設計したペルソナを元に募集・選考を行う
ペルソナが完成したら募集・選考に入ります。
- 求人情報はどのレベルまで載せるか
- 面接ではどんな質問をするか
- 最終的な決め手はどのポイントか
これらを決めてから採用・選考に進んでいきましょう。また選考にあたり、求める人材の情報を網羅した「ペルソナシート」があるとスムーズに進めることができます。書類選考や面接をする従業員同士でペルソナの共通認識がしやすくなるためです。
ペルソナ設定の失敗事例と注意点
採用においてペルソナを設定することはとても有効な手段ですが、すべてが成功するわけではありません。次からは、私が実際に経験をした失敗事例と、そこから学んだ注意点をご紹介します。
現場と人事の信頼関係がない
現場と人事との信頼関係がない場合は、いくらペルソナを設定してもうまくいきません。現場の上長が勝手にペルソナを決めて、「人事は口出しするな」と人事の意見を聞かずに採用を行った事例もあります。採用を進める前に現場と信頼関係が築けていないのであれば、人事担当者を新たに採用するなど、早急に信頼の改善を図りましょう。
さらに人事担当者の採用について詳しく知りたい方は「人事担当者の採用や登用について いつどんな人物を選ぶべきか?」をご確認ください。
結局学歴を見て採用
私のいた会社で、ペルソナを設定したのにも関わらず「東大卒」という理由でペルソナを無視して採用したことがあります。結果的に採用された方は会社に合わず半年で退職されました。学歴だけでの判断は、ミスマッチが起こりやすいです。高学歴な人材を採用したいという気持ちはわかりますが、冷静に判断をしましょう。
資格で判断して人間性を見ていなかった
採用は資格だけで判断してもいけません。たとえば、人事部の採用で「社会保険労務士の資格を持っていること」をペルソナとして設定した場合でも、必ず人間性は見るようにしましょう。
私の経験談を一つご紹介します。人事部に社会保険労務士のほかに10個以上資格を持っているが、実務経験がない方が採用されたことがありました。結果的に資格はあるものの全く仕事ができなかったため、試用期間で退職になったのです。
学歴と同じように、設定したペルソナを無視せず、本当に自社に合った人材を採用するようにしましょう。
【まとめ】採用のペルソナ設定をカンタン・シンプルに
採用におけるペルソナ設定は、優秀な人材を採用するうえでかかせないことです。
しかし経歴だけにとらわれて採用したり、設定を誤って採用したりしてしまうと必ずミスマッチ起こります。
人は会社にとって財産です。自社に合った人材を採用してこそ会社の発展につながります。
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