CDP(キャリアディベロップメントプログラム)とは?CDPの意味、導入方法、効果までを紹介
CDPとは?
ビジネスシーンでCDPという言葉は様々な意味で使われます。
CDPとは何かを説明します。
CDPとは
以前はCDPといえば、人事制度における能力開発計画やキャリア開発計画を意味するキャリアディベロップメントプログラム(Career Development Program)を意味することがほとんどでした。
しかし近年では人事領域以外でもCDPという言葉が使われています。
例えば、マーケティング分野ではCustomer Data Platformとして顧客情報を集めてマーケティングに活用するデータ基盤を意味します。
また、環境分野では気候変動などに取り組む国際的なNGOであるCDPという組織名を現しています。
IT用語としては、シスコシステムズ合同会社の通信機器で使われる通信プロトコルであるCisco Discovery ProtocolのことをCDPと呼びます。
このようにCDPというと様々な略語を意味します。
人事制度におけるCDP
シーンよってさまざまな意味をもつCDP。その中でも、今回は人事制度におけるCDP(キャリアディベロップメントプログラム)について解説します。
CDPとは、企業が社員の育成を計画的に行う制度です。キャリアという名称がついているように、社員本人の長期的なキャリア形成を目的として、本人の適性を見極めながら配置や教育を行います。多くの場合、社員本人と上司が面談を行い、社員本人の将来のキャリアゴールをヒアリングしたうえで、上司と人事部が一体になってキャリアゴールの実現に向けた支援を行います。
CDPは新卒一括採用により長期的に社員を育てる日本企業の根幹をなす人事制度の一つと言えるでしょう。
CDPの導入効果
多くの日本企業ではCDP(キャリアディベロップメントプログラム)が導入されています。特に大企業ではCDPの導入が一般的です。CDP導入にはどのような効果があるのでしょうか。
昇進・昇格意欲の向上
CDPは社員本人の将来のキャリアゴールに向けて、配置・教育を計画的に行う総合的なプログラムです。そのキャリアゴールを実現するプログラムの中には当然、昇進や昇格といったマイルストーンも含まれます。社員本人と上司が面談したうえで、いつまでに昇進・昇格するかをすり合わせることで、社員本人の昇進・昇格への意欲を高めることができます。
エンゲージメントの向上
従業員エンゲージメントの向上にもCDPは役立ちます。長期的に社員本人のキャリアを実現することを支援することはエンゲージメント向上につながります。エンゲージメントの向上には上司や会社の支援が寄与することが最近の研究で判明しています。
そのため、CDPを通じて会社や上司が社員本人の自己実現を支援しているというメッセージを発することがエンゲージメントの向上につながるのです。
社員のキャリア志向の把握
経営視点で考えてみると、人材は重要な経営資源です。一方で人材は後から良くも悪くも変化する資源の一つです。新卒採用が中心の日本では、どんな能力やキャリア志向を持っている人材なのかまだわからない段階で人を採用して育てます。
そのため本人のキャリア志向の把握は会社のパフォーマンスを左右する重要な情報と言えるでしょう。
例えば、技術職を大量に補充しようと思い200名程度の技術系新卒社員を採用したとします。その中に、実は技術系ではなく事務系の仕事が本当はやりたい、という社員が100名いたとしたらどうでしょうか。本来予定していた事業計画が実現できなくなる可能性があるのではないでしょうか。
そのため社員との対話を通じて、本人のキャリア志向を情報として把握するとともに、CDPを通じて会社の方向性と本人のキャリア志向を合致させていくことも重要です。
離職防止
CDPは長期的にキャリアを形成する仕組みであるため、離職防止にもつながります。もしCDPがなければ、社員はこの会社でどのように成長していけばよいかわからず、会社での自己成長が見えずに離職してしまいます。反対にCDPがきちんと運用されていれば、いつどのタイミングでどのような成長機会があるかを明確に示すことができるため、社員は会社における長期的なキャリア形成に安心して取り組むことができます。
CDPの導入方法
企業の人的資源管理において非常に重要な制度であるCDP。では実際にCDPを導入するにはどうすればよいのでしょうか。
CDPの導入の目的を決める
まずはCDP導入の目的を明確にすることから始めましょう。CDPの目的は概ね、社員本人の長期的なキャリア形成支援を通じて、人的資源の最大活用と離職防止を実現する試みと言えます。ただし、企業によっては個々の事情があるため、事情に応じて目的を決めましょう。
CDPの運用方法を決める
CDPで最も重要なのが運用方法です。社員本人のキャリア形成のためには人事部が中心となって運用するだけではなく、社員本人の上司と社員本人を巻き込んで運用する必要があります。
また将来のキャリアゴールの実現には、教育研修に加え、配置転換や昇進・昇格、出向などのプログラムを盛り込む必要があるでしょう。
さらに特に優秀な人材には選抜プログラムを用意することも考えられます。
このように本気で社員本人の能力の最大化を目的としてCDPを運用するのであれば、多岐にわたるプログラムを用意する必要があるのです。
導入を周知する
制度は導入すれば終わりではありません。社内に周知され、認知され、利用されてこそ制度は意味を成します。
CDPも導入と運用のためには周知が必要です。特にCDPでは多くの場合、社員本人とその上司が面談を通じてキャリアゴールを設定します。
本人と上司がCDPの仕組みや目的を理解して運用に積極的に協力してもらえるように周知することはとても大切な取り組みです。
CDP導入の注意点
CDPはきちんと運用すれば、離職防止をはじめとする様々な効果が得られます。ただしCDP導入には注意点もあることが現実です。
計画だけではなく、実行を重視する
CDPの導入後によくありがちなのが、CDPが計画倒れになってしまうことです。特に、社員本人が高い目標を設定して上司がそれに対して支援を行わない場合に計画倒れとなります。
例えば、社員本人が1年後にマネージャーに昇進するという目標を立てたとします。しかしその目標に対して、人事部や上司が何も支援をしなければ、社員本人がマネージャーになることは難しいでしょう。
またマネージャーになるために必要な教育を計画しても、実際に本人の仕事が忙しすぎて教育を受けられない場合もあります。
CDPで計画したことは実行しなければ、その後の社員の離職やCDP制度の形骸化へとつながります。
キャリアを実現する施策を用意する
最も難しいのがキャリアを実現する施策を用意することです。
社員本人が一般的なキャリアを望むのであれば、そこまで問題にはなりません。
しかし本人の上昇志向が高く、本人が社長になりたいという希望を持った場合や、新規事業をやりたいという希望を持った場合、キャリアを実現する施策を用意するのは時には困難でしょう。
この場合、それでもキャリアを実現する施策を用意することで社員本人のやる気を促進することができます。
ある企業では、将来、新規事業をやりたいという社員に対し、子会社を用意して新規事業をやらせました。その結果、子会社の事業が大きく成長し、いまではその企業の主力事業の一部になっています。
このように時にはキャリアを実現する施策にはリスクが伴うことがありますが、きちんとキャリアを実現する施策を用意することで、社員本人の成長を会社の成長へと確実に結びつけることができるのです。
人材管理は育成だけにこだわらず、採用も取り入れる
CDPを運用する企業にとって盲点なのが、人材育成にこだわりすぎることです。長期的に社内で人材を育てることは、企業の競争力形成においてとても重要な取り組みです。
一方で育てることに注力するあまり、人材不足や事業成長の停滞をかえって招いてしまうことがあります。
例えば、近年ではAIやロボティクスなどの新しいテクノロジーが生まれています。こうした新しいテクノロジーに関する人材を社内で育てるには時間がかかるだけではなく、育成に気を取られているうちに、世の中の競争に置いて行かれる可能性もあります。
時には育成ではなく、必要な人材を採用した方が早い場合もあるのです。
CDPは人材育成において優れたツールですが、人的資源管理の目的はあくまでも「必要な時に必要な人材を手にする」ことであることを忘れないようにしましょう。
【まとめ】CDPは重要な人材育成ツール
CDPはエンゲージメント向上が重視される現代だからこそ、本当に重要な人材育成ツールです。近年では新卒社員が「3年で辞める」ことが当たり前になっています。しかしCDPがあれば5年、10年といった長期スパンで社員のキャリアを考えることができ、社員本人のキャリアゴール実現にも役立ちます。社員本人の成長と、会社のパフォーマンスの最大化を結びつけるツールとしてCDPを積極的に活用しましょう。
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