【実践編】組織サーベイを成功させるポイントや事例を解説!
- 組織サーベイ・組織診断とは
- 組織サーベイ・組織診断を成功に導くには
- 実施目的を従業員に十分に伝える
- 過度に設問数を多くしすぎない
- サーベイ対象者へフィードバックする
- 組織サーベイ・組織診断の結果を改善にしっかりとつなげる
- 組織サーベイの具体的な導入フロー
- 組織サーベイ・組織診断ツールの比較検討ポイント
- 組織サーベイ・組織診断の選定ポイント
- 組織サーベイツールの主な比較検討ポイント
- 企業規模別の組織サーベイ・組織診断の主なツールの紹介と比較
- 従業員1000名以上の大企業
- 従業員1000名未満の中堅企業
- 従業員50名以下の中小・ベンチャー企業
- 組織サーベイ・組織診断の活用事例
- 人材定着・離職防止
- 組織開発
- 仮説を立て改善までしっかりPDCAを回して、組織サーベイを活用する
近年、HR-Techの台頭により、「組織サーベイ(ハイジ)」や「ソシキサーベイ(識学)」など様々なサーベイツールが開発されていますが、どのようなツールを使うべきか、成功するためにはどうすれば良いかなど悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
ここでは、組織サーベイを成功に導くためのポイントやツール比較の検討ポイントなどについて解説します。
組織サーベイ・組織診断とは
組織サーベイは、組織の状態を測定するためのツールです。組織の問題点や課題を解決するため、従業員のモチベーションやエンゲージメントなど組織状況を把握するために行う調査です。
詳細は、「組織サーベイとは?目的やメリット・デメリット、注意点を解説!」をご確認ください。
組織サーベイ・組織診断を成功に導くには
ここでは、組織サーベイを成功に導くための手順・ポイントを説明します。
実施目的を従業員に十分に伝える
組織を変えていくには、経営トップのコミットが不可欠です。経営トップ方針の下、組織サーベイの目的を明確化し、従業員に実施目的を十分に伝えることで円滑に組織を動かすのです。
「若年層の早期離職防止」「生産性の向上」「従業員満足度の向上」「人事戦略に応じた組織開発」など組織サーベイの目的は多岐に渡りますが、自社が定めた目的を達成するために、必要な組織サーベイを実施することを十分に理解をしてもらうよう説明します。
目的によっては、従業員の負担が大きくなるものもありますので、面倒な組織サーベイであっても従業員から協力してもらえるよう丁寧に説明をし、理解を求めることが成功の鍵になります。
過度に設問数を多くしすぎない
過度に設問が多いと従業員に不満が生じ、「有効な回答が得られない」「組織サーベイを継続的に実施できない」「回答率が極度に低下する」などが考えられます。
「せっかく組織サーベイを行うならば、あれもこれも聞いておこう」となりがちですが、目的を明確化せずに組織サーベイを行うと陥りやすい思考です。組織サーベイを成功させるためにも、必要最低限の項目に抑えることが望ましいといえます。
なお、ストレスチェック制度の実施企業においては「新職業性ストレス簡易調査票(80項目)」を活用すれば、新たな人事部門の負担も少なく、従業員にとっても負担が大きく増えることもありません。ストレスチェック制度の延長線の対応であることから従業員も受け入れやすく、サーベイ項目を合わせることができるならばお勧めです。
サーベイ対象者へフィードバックする
組織サーベイを行ったものの、フィードバックやアクションがないという状態は、受検する従業員にとっては「何のためにやっているかわからない」というような不満が生じます。従業員から継続的に組織サーベイに協力してもらうためにも、定期的なフィードバックを行うことが必要です。
組織サーベイ・組織診断の結果を改善にしっかりとつなげる
当初の目的に対し、組織サーベイがどのような結果であったか、結果に対するアクションプランをどのように立案・実行するか、良かった点、改善すべき点などを振り返ります。この振り返りをしないと、手段の目的化に陥り、従業員の不満だけが残る無意味な施策となりますので、明確化した目的を達成するために必ず行いましょう。
特に改善すべき点を次回に活かし、PDCAサイクルを回していくことが重要です。
組織サーベイの具体的な導入フロー
次に、組織サーベイの具体的なステップの概要をまとめていますので、参考にしてください。
【1】組織課題の分析
定量分析
「社員定着率」「労働生産性」など、定量的な数値の推移を分析し、組織課題を抽出する。
定性分析
定量分析にて得た結果から、「若年層の離職が増えている」「労働生産性が低下している」など定性分析を行い、組織課題を明確化します。
【2】仮説の設定
組織課題の分析結果に基づき、例えば「若年層の離職原因は職場内のコミュニケーション不足」「労働生産性低下の原因は人事評価が正当でない」など、自社の状況を踏まえて仮説を設定します。
【3】調査項目の決定
仮説が正しいかの「確認項目」と、改善する方向性を確認する「改善項目」に分け、項目を決定します。
例えば、若年層の離職原因に対する確認項目は「職場内は声をかけやすい雰囲気になっているか」、改善項目は「メンター制度は効果的と思うか」、労働生産性低下の原因に対する確認項目は「あなたは正当に評価されていると思うか」、改善項目は「360度評価は効果的と思うか」などです。
【4】サーベイの実施方法の検討と実施
サーベイの頻度
パルスかセンサスとするかの実施頻度を決める必要があります。従業員に過度な負担とならないよう、必要最小限の頻度とします。
手法
アンケートを作成、分析できるGoogleフォームなどで自社でサーベイを実施することも可能です。ただし、負担や分析のしやすさなどを踏まえて、ツールを活用することをお勧めします。成功に導くには、従業員の負担を最小限にすることがポイントです。
【5】サーベイの振り返り
サーベイ結果を踏まえて、仮説が正しかったのであれば、「改善項目」から従業員のニーズを把握し、施策を検討し、仮説が正しくなかったのであれば、新たな仮説を立てて次回のサーベイで検証するように、PDCAサイクルを回していきます。
【6】フィードバック
組織サーベイの結果を従業員にフィードバックします。
組織サーベイを継続する、あるいは組織サーベイの結果で決定した施策を実施するためにも、従業員に納得感を与えるうえでフィードバックを行うことは重要です。
組織サーベイ・組織診断ツールの比較検討ポイント
クラウドシフトの進展により、クラウドベースの組織サーベイツールは様々提供されています。ここでは、組織サーベイの主なツールの比較検討ポイントを企業規模別に解説します。
組織サーベイ・組織診断の選定ポイント
組織サーベイの選定にあたっては、以下のポイントを踏まえて検討しましょう。
とくに、ストレスチェック制度の実施企業にあたっては、「ストレスチェック機能」が備わっている組織サーベイツールを適用することで、円滑に導入・運用できますので、受検項目などの条件が合えばお勧めです。
組織サーベイツールの主な比較検討ポイント
価格
提供価格が人数規模に見合った価格となっているか。料金体系は目的や頻度に見合っているか。
設問数
設問数は、従業員の負担にならない程度におさまっているか。もしくは設問数をユーザーで調整できるか。
機能
アンケートの集計、分析機能、受検通知機能、ストレスチェック機能などが備わっているか。(ストレスチェック機能が備わっていれば、ストレスチェック制度を活用して組織サーベイを実施できる)
設問内容
分析結果から施策を検討できるような設問になっているか。また、改善項目設定のため、設問内容をアレンジできる仕組みになっているか。
企業規模別の組織サーベイ・組織診断の主なツールの紹介と比較
ここでは、企業規模別の組織サーベイツールの紹介と比較を解説します。
従業員1000名以上の大企業
wevox
この製品の特徴は、かんたんに配信、回答、リアルタイム集計でエンゲージメントを可視化でき、自動配信や自動リマインド機能のほか独自設問を作成することが可能です。
数千人規模までの企業に対応しており、大人数向けに効率的に組織サーベイを行いたい、独自のサーベイを実施したい企業にお勧めです。
費用 :月額300円/名
導入企業:1800社以上
主な機能:受検通知機能、自動集計機能、分析機能、チャット機能、AIレコメント機能、他社比較機能など
提供企業:株式会社アトラエ
従業員1000名未満の中堅企業
モチベーションクラウド
この製品の特徴は、6600社以上のデータベースを元に組織状態を診断し、組織改善に活用でき、他社比較、属性比較、経年比較など様々な角度から組織状態を把握することができます。
施策実施までのPDCAサイクルの管理も可能ですので、組織改善までしっかりと管理していきたい企業にお勧めです。また、ストレスチェック機能も備わっていますので、ストレスチェック実施企業は導入しやすいメリットがあります。
費用 :要問い合わせ
導入企業:6600社以上
主な機能:自動集計機能、分析機能、他社比較機能、ストレスチェック機能、アクションプランの自動レコメント機能など
提供企業:株式会社リンクアンドモチベーション
従業員50名以下の中小・ベンチャー企業
ハイジ
この製品は、人材定着を実現する15要素で構成されたサーベイで、統計的に人材定着と関係が深い項目を選定しています。
フリープランでは個人の分析はできませんが、まずは無料で組織サーベイを実施してみたい企業にお勧めです。
費用 :フリー(無料)、スタンダート(月額250円/名)、プロフェッショナル(要見積もり)
導入企業:不明
主な機能:アンケート自動配信機能、詳細分析機能、レポート閲覧、負担軽減するアンケート回答機能など(プランによる)
提供企業:株式会社OKAN
組織サーベイ・組織診断の活用事例
組織サーベイの具体的な導入フローやツールの比較などを紹介してきましたが、ここでは組織サーベイの活用事例をテーマ別に解説します。
人材定着・離職防止
株式会社AbemaTV
株式会社AbemaTVは、リモートワークの導入によってメンバー間の距離が離れ、先行き不透明な不安が募るなかで、パルスによる組織サーベイを活用しています。例えば、エンゲージメントスコアが低いなど従業員の変化をいち早く察知し、マネージャーに話すなどで速やかに対処するほか、リモートワークにおいて、コメント機能などで困り事がないかなどをアンケートを実施するなど活用しています。
また、地道なリマインドによって回答率を高め、組織サーベイで吸い上げた課題やコメントに対し、しっかりと組織で施策を打つことを実施されています。
組織開発
株式会社グロービス
株式会社グロービスでは、月一回のパルスによる組織サーベイを実施していますが、サーベイを継続してアクションが増えていくと全体に向けた提案が増えていきます。これによって帰属意識や当事者意識が高まり、自律分散型の組織を作っていくチャンスととらえ、管理者だけがサーベイの結果を見るのではなく、メンバー全員に開示をすることで自発的な行動を促しています。
メンバー全員に開示をした結果、ある部門では自発的にアクションを起こし、これによって建設的な意見がサーベイに寄せられるという好循環が生まれています。
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仮説を立て改善までしっかりPDCAを回して、組織サーベイを活用する
今回ご紹介したように、組織サーベイを活用するには、組織の課題に対して仮説を立て、アクションから改善までPDCAサイクルを回していくことが重要です。
組織サーベイツールは様々ありますが、目的や環境、活用方法など自社にあったツールを選定することが重要です。また、事例で紹介したように、単にツールを導入するだけではなく、ツールを活用するうえで自社のアクションを変える、自発的にアクションを起こしてもらうための仕組みを作るなど、工夫が求められます。
組織サーベイツールを活用するには、従業員情報を常に最新データとして管理する必要がありますが、例えば、HRBrainのような人事系システムで管理をすることが必要となります。
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