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タレントマネジメントとは?主なメリット・デメリットを紹介

タレントマネジメントとは?主なメリット・デメリットを紹介

目次

    本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。

    タレントマネジメントとは、従業員の能力をより発揮できる環境を用意するため、さまざまな観点でマネジメントすることです。従業員が適材適所で働ける企業体制の構築に、頭を抱えている企業も多いでしょう。

    タレントマネジメントを導入することで、人材にまつわる課題を解決できるかもしれません。今回は、タレントマネジメントの基本に触れながら、導入メリット・デメリットについて説明します。

    タレントマネジメントをより効率的に実施する、タレントマネジメントシステムのメリット・デメリットとあわせてご覧ください。

    そもそもタレントマネジメントとは?

    タレントマネジメントの「タレント」とは、従業員のことです。タレントマネジメントは、従業員のもつ能力を効率的に発揮するために、人材におけるさまざまな観点でマネジメントすることを指します。

    タレントマネジメントは、どのような目的で実施されるのでしょうか。主な目的として挙げられるのは、適切な人材配置です。

    従業員のもつ才能や素質を引き出したり、事業におけるリーダー候補を輩出したりする目的もあります。また、優秀な人材の採用と、流出を防ぐために実施する企業もあるでしょう。

    ここからは、タレントマネジメントについてより深く理解するために、注目される理由や導入ステップを説明します。

    タレントマネジメントが注目され始めた理由は?

    タレントマネジメントが注目される背景には、人材がもつ価値観の多様化や、労働市場の変化などがあります。

    企業のために働く従来の働き方とは異なり、近年ではひとりひとりの働きがいを優先する考えが浸透しています。ワークライフバランスを重視する人材も増えているため、個人に目を向けるタレントマネジメントが注目されました。

    人材の流動化・多様化が進んだことも、タレントマネジメントが注目される理由です。昨今の人口減少や少子高齢化などが原因で、採用に関する課題を抱える企業が増加しています。既存従業員や新たに採用する人材のもつ能力を最大限に活かすことを、タレントマネジメントにより実現する企業も増えました。

    タレントマネジメント導入の基本ステップ

    タレントマネジメントは、以下5つのステップで導入します。

    1. タレントマネジメントの導入目的を明確にする
    2. タレントについて把握する
    3. タレントを配置し、活用する
    4. モニタリングを実施する
    5. 評価体制の構築を改める

    それぞれのステップについて詳しく説明します。

    1.タレントマネジメントの導入目的を明確にする

    まずは、なぜタレントマネジメントを導入するのか明確にしてください。タレントマネジメントは、企業理念の達成、もしくは達成に至るための経営戦略をベースにするのが一般的です。

    2.タレントについて把握する

    マネジメントの対象になるタレント(従業員)についての理解を深めましょう。過去の経歴や自己評価、自社での功績などをベースに判断します。タレントについて理解することで、企業理念を達成するための人材配置などがより適切に実施できます。

    3.タレントを配置し、活用する

    タレントの能力を把握したら、適材適所への配置を進めてください。ただ配置するだけでなく、配置後の活動や成果を把握・分析することが大切です。場合によっては、新たな人材を採用する必要性も出てくるでしょう。

    4.モニタリングを実施する

    タレントマネジメントにより実施した施策が、本当に効果のあるものだったのか分析することが大切です。モニタリングを通じ、自社をよりレベルアップさせるための新たな施策が生まれることもあるでしょう。またモニタリングは、タレントマネジメントの成功を実感できない場合も、今後の対策を練るうえで重要な観点です。

    5.評価体制の構築を改める

    タレントマネジメントを効果的かつ適正に進めるため、評価体制を見直します。タレントに対して適切な評価ができなければ、モチベーションの維持に黄色信号が灯ります。既存の評価体制を活かすのはもちろん、タレントのニーズに合わせて新たな体制を構築することが大切です。

    タレントマネジメントのメリット

    タレントマネジメントには、以下5つのメリットがあります。

    • 人材・チームの能力向上
    • 人材育成の活性化
    • 人材代謝の促進
    • 明確な採用基準の確立
    • エンゲージメント向上

    それぞれの項目について、詳しく説明します。

    人材・チームの能力向上

    タレントマネジメントにより、従業員ひとりひとりのデータを把握できるようになります。今後伸ばしていくべき能力や、足りていないスキルを埋めるために必要なことを明確にできるでしょう。

    ひとりひとりに対する施策を明確にできることで、人材単位だけでなくチーム全体の能力向上が期待できます。能力の向上を通じ、新たな事業の立ち上げにつながる可能性もあるでしょう。

    タレントマネジメントは、従業員だけでなく企業目線でのメリットも期待できる施策といえます。

    人材育成の活性化

    企業を動かす重要な財産である人材を、より効率的に育成できるのがタレントマネジメントのメリットです。タレントマネジメントは従業員の能力や適性を可視化できるため、より実践に基づいた育成が可能になるでしょう。

    従業員ひとりひとりに合わせた人材育成を実現できるのも、タレントマネジメントのメリットです。また、育成データの蓄積により、引き継ぎや新たな育成プランの立案がしやすくなるのも特徴です。

    人材代謝の促進

    ここでいう代謝とは、人材の流動のことを表します。優秀な人材を確保しつつ、自社に適していない人材を整理することです。

    タレントマネジメントを実施することで、自社に適した人材の確保・整理がより正確になるでしょう。人材のもつスキルや経験が重要視される市場へと変化した昨今における、重要な観点といえます。

    明確な採用基準の確立

    タレントマネジメントは、自社の採用基準を確立する効果も期待できます。人材代謝により明確になった、自社に適した人材の活動や成果をベースにするのが一般的です。

    人材の代謝により明確になった適性のない人材の特徴を活かして、採用基準を見直す効果も期待できるでしょう。

    エンゲージメント向上

    タレントマネジメントにより、従業員ひとりひとりの適材適所を実現できます。働きがいのある環境で仕事ができるため、業務や企業への満足感が高まりやすくなるでしょう。

    エンゲージメントが向上することで期待できるのは、主に以下の効果です。

    • 離職率の低下
    • 定着率の向上
    • ワークライフバランスの実現

    特に近年では、リモートワークの需要が高まり、適材適所によるエンゲージメントの向上が重要視されています。在宅でも適切な評価ができるタレントマネジメントにより、エンゲージメント向上を図りましょう。

    タレントマネジメントにはデメリットもある

    ここでは、タレントマネジメントに関する以下のデメリットについて解説します。

    • 従業員の理解を得るのにコストがかかる
    • 実施目的が具体化しづらい
    • 人材情報の収集・管理・活用に関するネックがある

    タレントマネジメントを失敗させないために重要な観点のため、必ず把握しておきましょう。

    従業員の理解を得るのにコストがかかる

    タレントマネジメントの実施は、従業員への周知や、理解を得ることが必要不可欠です。従業員によっては、スキルや能力をランク付けされているような感覚に、居心地の悪さを覚えてしまうかもしれません。

    経営陣の独断で進めても、施策としての定着は期待できません。あくまでも対象となるのは従業員のため、周知と理解の重要性は把握しておきましょう。

    実施目的が具体化しづらい

    タレントマネジメントそのものに対して、漠然としたイメージしか持てていない従業員も多いでしょう。実施による具体的な成果や、自分がすべきことを明確にできなければ、施策としての浸透は期待できません。

    実施目的が明確になっていないと、施策の導入そのものが目的化してしまいます。なぜタレントマネジメントを実施するのか、目的を具体化したうえで進めることを忘れてはいけません。

    人材情報の収集・管理・活用に関するネックがある

    タレントマネジメントは、人材情報と非常に密接な関係があります。しかし、人材情報に関するネックが多いのも事実です。

    例えば、人材情報を適切かつ確実に吸い上げる手段や時間を確保できない場合があります。情報を集められても管理体制を構築できず、社内でうまく情報管理ができない可能性もあります。

    また、集めた人材の情報を活用しきれないケースも少なくありません。情報を基にした課題を可視化しきれず、ただ情報を集めただけになってしまう場合があります。課題や対策の可視化に、時間がかかってしまうこともあるでしょう。

    このようにタレントマネジメントは、人材情報に関するネックがあるため注意しておかなければなりません。

    タレントマネジメントシステムとは?

    タレントマネジメントの実施をサポートするツールを、タレントマネジメントシステムといいます。近年注目度高まるタレントマネジメントを、より確実に導入するために用いられるツールです。

    タレントマネジメントシステムでは、主に以下のことが実施できます。

    • スキル検索
    • プロフィール検索
    • レポート
    • 分析
    • コンピテンシー管理
    • 育成計画
    • 目標管理
    • 後継者管理

    上記を実施するための人的リソースを確保しきれない場合は、タレントマネジメントシステムの導入を検討してください。

    タレントマネジメントシステム導入のメリット

    タレントマネジメントシステムを導入することで期待できるのは、以下4つのメリットです。

    • 人材データを効率的に把握できる
    • 人材配置を最適化できる
    • 人材育成をより計画的に進められる

    それぞれの項目について、詳しく解説します。

    人材データを効率的に把握できる

    企業に在籍する人材のデータを、より確実に可視化し、把握できるのがタレントマネジメントシステムのメリットです。人材データの回収や管理など、タレントマネジメントにおけるデメリットを解消できる側面もあります。

    多くのタレントマネジメントには検索機能が備わっています。そのため、プロジェクトや戦略の内容に応じた適切な人材の選出も可能です。

    また、アンケート機能が備わっているため、企業にとって有益な情報を従業員から回収できるのもメリットです。

    人材配置を最適化できる

    タレントマネジメントシステムの多くには、スキルやプロフィールを検索できる機能が実装されています。これにより、経営戦略に適した人材を選出し、配置することが可能です。

    従業員の能力や経歴を把握し、現在取り組んでいる業務とのマッチ度を図れるのもメリットです。人の目だけでは把握しきれない人材の能力や魅力を、ツールを通じて理解できるでしょう。

    人材育成をより計画的に進められる

    タレントマネジメントシステムに実装されている育成計画機能で、より客観的かつ確実性のある育成計画を立案できます。ツールで可視化することで、従業員の成長を効率的に促すことが可能です。

    また、後継者管理機能により、プロジェクトリーダーにふさわしい人材を輩出できます。企業としての核を担う戦略を、適性のある人材に任せられるのは企業にとっても大きなメリットです。

    人材発掘につながる

    タレントマネジメントシステムには、人材がもつ潜在スキルを発掘する効果があります。配置により活かしきれていなかった才能の発掘にもつながるため、適材適所の実現にも貢献します。

    タレントマネジメントシステムで、従業員自身が気づけていない自分の能力に気付けるのもメリットです。ここまで紹介した人材の配置・育成を最適化するためにも、ツールを通じての人材発掘は着目しておくべき観点です。

    タレントマネジメントシステム導入のデメリット

    残念なことに、タレントマネジメントシステムにはいくつかのデメリットも存在します。

    導入し、運用を開始するまでに時間やコストがかかってしまうことです。また導入しても、運用しきれないままでいる企業も少なくありません。

    ここでは、タレントマネジメントシステムの導入におけるデメリットについて解説します。タレントマネジメントシステムを成功させるために必要な観点なので、ぜひ参考にしてください。

    導入にコストがかかる

    タレントマネジメントシステムは、導入におけるさまざまなコストが発生します。
    システムを購入する際に発生する初期費用はもちろん、月額費用などのランニングコストも該当します。予算によってはシステムの導入費用により影響を受ける企業も多いでしょう。

    しかしタレントマネジメントを実施するうえでは、システムの導入は必須と考える企業も少なくありません。人的リソースだけでタレントマネジメントを実施しようとしても、計画倒れになってしまう可能性があるためです。

    したがって、タレントマネジメントの実施を検討しているのであれば、やはりシステムの導入は欠かせません。費用がネックになっている場合は、初期費用を抑えられるクラウド型がおすすめです。

    社内にサーバーを設置するオンプレミス型もありますが、こちらはクラウド型とくらねて初期費用が高めです。クラウド型も月額費用はかかりますが。最新の機能を活用できるメリットがあります。

    運用までに時間がかかる

    タレントマネジメントは、導入しただけで終わりではありません。

    導入後は、人材情報の入力・登録などの作業が発生します。人材情報を手作業で入力するのは、非常に時間がかかるため決してよい手段とはいえません。

    タレントマネジメントシステムを導入する際は、従業員が自分で情報を入力できるものを選択しましょう。従業員から集めたアンケートをそのまま反映させられるシステムを選ぶのもおすすめです。

    またタレントマネジメントシステムの導入にあたり、企業ルールの改訂が求められることもあります。タレントマネジメントは企業方針を大きく変えることもあるため、ルールを改訂しなければスタートできない可能性があります。

    場合によっては0から新しいルールを作る必要性も出てくるため、運用開始までに時間がかかるかもしれません。ルールが変わることで従業員の企業に対する思いや、モチベーションが変化するリスクもあります。

    うまく運用しきれない場合がある

    時間と費用をかけてタレントマネジメントシステムを導入しても、効果的に運用できていなければ意味がありません。

    従業員や管理職のスケジュールを、圧迫してしまうことが例に挙げられます。タレントマネジメントシステムの導入で、かえって業務負荷が増えてしまっては本末転倒です。情報の収集・共有・活用がうまく実施できていない企業も多いでしょう。

    また、導入したシステムを担当者が使いこなせない場合もあります。従業員はもちろん、企業全体でシステムを使えるようにならなければ、タレントマネジメントの導入には至らないでしょう。

    タレントマネジメントシステムを効率的かつ確実に運用するためには、導入後に目を向けることが大切です。タレントマネジメントシステムのようなツールに強い人材の育成に力を入れたり、採用を進めたりしましょう。またシステムによってはアフターサポートが利用できるため、導入後でも安心できるものを選ぶのがおすすめです。

    まとめ

    今回は、従業員の能力を最大限発揮するために重要な、タレントマネジメントについて説明しました。また、タレントマネジメントをより効果的に実行する、タレントマネジメントシステムについても紹介しています。

    タレントマネジメントには、人材育成や配置、チーム全体のレベルアップなどさまざまな効果が期待できます。システムを導入して実施することで、より効率的なタレントマネジメントを実現できるでしょう。

    ただし従業員の理解を得るのにコストがかかることや、実施目的の具体化や人材情報の管理が困難なことも覚えておきましょう。システムの導入にかかる費用や、運用に関するネックがあることも忘れてはいけません。

    自社の人材がより働きやすい環境を構築するためにも、タレントマネジメントは重要な観点です。人材育成や配置に関する悩みを抱えている企業は、今回の内容を参考にタレントマネジメントシステムの実施を検討してください。

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    HR大学 編集部

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