#人材育成
2023/12/12

従業員満足度(ES)とは?満足度構造や向上のための企業の取り組みを解説

目次

従業員満足度とは、職務内容・労働環境・人間関係・金銭待遇・福利厚生などにおける「従業員の満足度」を表す指標のことです。

従業員満足度を高めることは従業員だけでなく、企業にとっても「離職率の低下」「生産性の向上」「顧客満足度(CS)の向上」などのメリットがあります。

この記事では、従業員満足度の構造や従業員満足度向上のための企業の取り組みについて解説します。

従業員の「本音」が分かる「組織診断サーベイ」

従業員満足度(ES)とは

従業員満足度とは、職務内容・労働環境・人間関係・金銭待遇・福利厚生などにおける、「従業員の満足度」を表す指標のことです。

英語では、「Employee Satisfaction」略して「ES」と呼ばれます。

従業員満足度は、「自分の能力に合った仕事ができている」「成長が実感できる」「職場に嫌な人がいない」といった環境では、「満足度が高い」傾向になります。

逆に、「頑張っても給料が上がらない」「福利厚生がない」「残業が多すぎる」といった環境では、「満足度が低い」傾向になります。

また、アメリカの心理学者エドウィン・A・ロック氏は「従業員満足度」について、「個人の仕事への評価や仕事からの経験によってもたらされる喜ばしい、もしくは肯定的な感情」と定義し、研究分野では「Employee Satisfaction」のほか、「Job Satisfaction」と表現されることもあります。

従業員満足度が重視されるようになった背景

「従業員満足度」に注目する企業は年々増えてきています。

転職が一般化したことや、副業が解禁されたことで人材の流動性が高まり、「人材の確保と流出防止」が企業にとって、差し迫った課題となったためです。

また、少子化にともなう労働人口の減少も「従業員満足度」が重要視される要因となっています。

厚生労働省の雇用政策研究会によるシナリオ推計では「労働力・就業者数」に関して、労働人口の減少は、今後着実に進んでいく見通しとなっていると推測しています。

  • 経済成長と労働参加が進んだ場合

就業者数:6,530万人(2017年)⇒6,024万人(2040年)

  • 経済成長と労働参加が進まない場合

就業者数:6,530万人(2017年)⇒5,245万人(2040年)

(参考)厚生労働省「令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える

また、働き方の多様化も進み、企業に属さない「フリーランス」として働く人も増えています。

「より良い労働条件・職場環境」を求めて、転職や独立するケースも増えつつあるため、企業は従業員に「ずっと働き続けたい」と思ってもらえるような、環境整備に対する努力が求められています。

従業員満足度を高めることで得られる効果

従業員満足度を高めることで、企業が得られるメリットについて確認してみましょう。

「従業員満足度を向上させたところで、得をするのは従業員だけ」と思われがちですが、実際には企業側にもメリットがあります。

むしろ、従業員満足度を向上させることで、企業と従業員の間に「win-winの関係」を構築することができるようになるでしょう。

従業員満足度を高めることで得られる効果

  • 生産性の向上

  • 顧客満足度(CS)の向上

  • 離職率の低下

生産性の向上

労働条件や労働環境に不満がない場合、従業員は本来の業務に集中して取り組むことができるため、仕事に対して前向きな姿勢になり、生産性が高まります。

また、生産性が向上することで業務の「PDCAサイクル」が早く回るようになるため、業績の向上も期待できるでしょう。

目に見える結果が出ることで、従業員のモチベーションがさらに高まることも期待できます。

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顧客満足度(CS)の向上

従業員満足度が高まると、従業員エンゲージメントが高まる傾向にあり、それにともなって顧客満足度の向上も期待することができます。

従業員エンゲージメントとは、従業員の「企業や自社商品に対する愛着度合い」を示す言葉です。

「もっと自社サービスの良さを知ってほしい」といった気持ちから、商品やサービスの質に磨きがかかったり、改善箇所に積極的に取り組むようになったりするため、顧客評価が高まります。

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離職率の低下

職務内容・労働環境・人間関係・金銭待遇・福利厚生の満足度が高い企業は、従業員が「転職」にメリットを感じることが少ないため、離職率が低い傾向にあります。

そのため、採用コストや人材育成コストを削減することができます。

また、リファラル採用を取り入れている場合は、「友人にポジションを紹介したい」という従業員が多いため、求人広告を打たずに良い人材を採用できるケースもあります。

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従業員満足度の仕組み

従業員満足度を向上させるためには、人間の「欲求」と「満足」の仕組みについて知ることが大切です。

「マズローの欲求5段階説」と、「ハーズバーグの二要因理論」をもとに、従業員満足度がどのように作られていくのかについて確認してみましょう。

マズローの欲求5段階説

マズローの欲求5段階説とは、アメリカの心理学者アブラハム・H・マズロー氏によって提唱された「人間の欲求構造」についての理論で、「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」という5つの欲求について、下層の欲求から順番に満たしていく、という人間の心理的行動を理論化したものです。

マズローの欲求5段階説

マズローの欲求5段階

  • 生理的欲求

  • 安全欲求

  • 社会的欲求

  • 承認欲求

  • 自己実現欲求

5つの欲求が満たされている従業員が多ければ多いほど、従業員満足度も比例して高くなる傾向にあります。

そのため、まずは自社の職場環境や制度が、これらの欲求に応えられるものになっているかどうか、振り返ることが大切になってきます。

  • 生理的欲求

生理的欲求は、生命維持のために必要な、最も基礎的な欲求です。

食欲・睡眠欲・排泄欲などが当てはまり、動物に備わっている本能的な欲求です。

「仕事が忙しすぎて寝る暇がない」「業務中に休憩やトイレに行けない」などの環境は、「生理的欲求」を満たすことができない環境であり、生命維持に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

  • 安全欲求

安心欲求は、心身ともに健康かつ経済的にも安定した暮らしを求める欲求です。

精神的に不安定な状態や、経済的に困窮している状態、自分がいつどうなるか分からない環境では、「安全欲求」は満たされず、少しでも快適に過ごせる環境を求めて行動するようになります。

  • 社会的欲求

社会的欲求は、家族や友人から愛情を受けたり、組織に受け入れられたりすることを求める欲求です。

「帰属欲求」とも呼ばれ、この欲求が満たされていないと、孤独や社会的不安を感じてしまうようになります。

また、満たされない状態が継続することで不安な気持ちが増幅し、鬱症状を発症することもあります。

  • 承認欲求

承認欲求は、他者からの承認や賞賛を求める欲求です。

自分が出した成果を褒められたり、行動について賞賛されたりすることで満たされます。

承認欲求が満たされると、モチベーションが向上し、成長意欲が湧く傾向にありますが、承認欲求が満たされないと、劣等感を感じやすくなる傾向があります。

  • 自己実現欲求

自己実現欲求は、自分らしく生きることを求める欲求です。

「好きなことを仕事にしている」「描いていた理想の生活が送れている」と思える状態は、自己実現欲求が満たされている状態です。

いくら仕事で評価されていて、他者から羨ましがられるようなキャリアを築いていたとしても、「本当に自分がやりたいこと」ができていないと、自己実現欲求を満たすことは難しくなります。

ハーズバーグの二要因理論

ハーズバーグの二要因理論とは、フレデリック・ハーズバーグ氏によって発表された理論で、「満足度を高める要因(動機付け要因)」と「満足を低下させる要因(衛生的要因)」は別物であるという考え方です。

従業員の生産性を高めるには、衛生的要因を整備したうえで、動機付け要因のレベルを上げていく必要があり、双方のバランス調整がとても重要なポイントになります。

  • 動機付け要因

動機付け要因は、仕事自体への興味関心・責任権限・昇進・達成・承認などを指し、マズローの欲求5段階説では、「自己実現欲求」や「承認欲求」が当てはまります。

動機付け要因での満足度が低かったからといって、すぐにやる気が低下するわけではありませんが、満たされれば満たされるほどモチベーションが高まったり、生産性が高まったりする傾向にあります。

そのため、「動機付け要因」は「促進要因」と呼ばれることもあります。

  • 衛生的要因

衛生的要因は、経営方針・管理体制・人間関係・給与待遇・福利厚生などを指し、マズローの欲求5段階説では、「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」が当てはまります。

衛生的要因について不満を感じてしまうと、離職や休職につながる場合がありますが、満足したからといって、必ずモチベーションや生産性の向上につながるわけではありません。

また「給与を必要以上に引き上げる」といった過度な施策は、そのうち「それがあたりまえ」といった感覚になってしまうため、慎重に検討することが大切です。

衛生的要因では、より高い満足度を目指すよりも、「不満に感じない水準を保つ」ということが重要です。

衛生的要因

動機付け要因と衛生的要因は、どちらか一方だけ満たされていても意味がありません。

動機付け要因だけが満たされている状態は、「やりがい搾取」の状態になりかねず、従業員は心身、そして経済的に疲弊してしまう恐れがあります。

また、衛生的要因だけが満たされている状態は、「このままで良いのだろうか?」「もっと自分のやりたいことをしたい」という思いを抱いてしまい、離職につながる可能性があります。

従業員満足度を高めるために、まずは衛生的要因に関する不満を取り除き、徐々に動機付け要因の満足度についても高めていけるような環境整備を行うことが望ましいでしょう。

従業員満足度を高めるためにできること

「マズローの欲求5段階説」や「ハーズバーグの二要因理論」をふまえて、従業員満足度を上げるためには、具体的にどのような施策が必要なのか、「企業理念の浸透」「業務内容の適正化」「社内コミュニケーションの活性化」「評価制度の見直し」「福利厚生の充実」の5つの観点から、企業の実例とあわせて確認してみましょう。

従業員満足度を高めるためにできること:企業理念の浸透

企業理念は、会社の「価値観」や「行動指針」を示すものです。

そのため、企業理念が従業員にしっかりと浸透している企業は、組織として一体感が生まれ、生産性やサービスレベルも高い傾向にあります。

企業理念の浸透のために、定期的に会社のビジョンや方向性について発信したり、1on1ミーティングを実施したりすることで、従業員ひとりひとりが自分自身の行動について振り返ることができる機会を設けると良いでしょう。

マリオット・インターナショナルが運営している、「ザ・リッツ・カールトン」では「クレドカード」と呼ばれる、名刺サイズのカードを従業員に配布しています。

クレドカードには、「会社のビジョン」や「行動指針」が書かれており、取るべき行動に迷った際に見返せるようになっているだけでなく、シフトごとに読み合わせも行われています。

特に有名な一文が「モットー」です。

モットーには「”We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen” (紳士淑女をおもてなしする私たちも紳士淑女です)」と書かれています。

これは、従業員自身も紳士淑女であれという意味で、常に気品の高いお客様をおもてなしするために、従業員も気品高くあるという、リッツ・カールトンの価値観がよく表れています。

また、企業理念への理解が浅い入社1年目の従業員に対しては、理念への理解を深めるため、研修に約300時間もの時間が割かれています。

(参考)ザ・リッツ・カールトン「ゴールドスタンダード

マリオット・インターナショナル

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従業員満足度を高めるためにできること:業務内容の適正化

「自分に合った仕事ができている」「自分の能力を活かして仕事ができている」と感じられると、従業員満足度は高まります。

最近では、ポジションごとに人を採用する「ジョブ型雇用」も増えてきていますが、「新入社員は必ず営業から」「最初の1年は全員現場から」など、個人の適性とは関係なく人材配置をするケースも多くあります。

希望するポジションに適したスキルを保有している場合や、明らかに向いていないポジションに配置されている場合は、業務の適正を考えて配置転換を行うなどの対応が必要です。

株式会社ディー・エヌ・エーでは、「シェイクハンズ制度」という自社特有の人事制度を設けています。

シェイクハンズ制度は、「本人と異動先の事業部長の意志が合致すれば、上長や人事の介入なしで部署異動ができる制度」です。

本人の希望に沿ってアクションを起こすことができる制度のため、ポジションのミスマッチが起きにくく、仕事内容への満足度も高まりやすくなると言えます。

(参考)株式会社ディー・エヌ・エー「キャリア制度

株式会社ディー・エヌ・エー

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従業員満足度を高めるためにできること:社内コミュニケーションの活性化

風通しの良い企業は、従業員の「心理的安全性」が確保されているため、商品やサービスをより良くするためのアイディア交換も活発に行われる傾向があります。

社内コミュニケーションを活性化させるためには、社内報やチャットツールなどを活用して、情報をキャッチしやすい環境づくりをすることが大切です。

また、社内で特定のデスクを持たない「フリーアドレス制度」もおすすめです。

従業員同士のコミュニケーションが活発になり、業務も進めやすくなるでしょう。

株式会社サイバーエージェントでは、業務上の接点のない従業員ともコミュニケーションが取れるようにするため、「シャッフルランチ制度」を導入しています。

また、入社したばかりの従業員のデスクには「ウェルカムバルーン」と呼ばれる風船が設置されており、気軽に話しかけられるような配慮もされています。

新卒社員や中途社員は、今後の人間関係に不安を抱えているケースが多くなっているため、「会社になじみやすい環境づくり」は大切です。

株式会社サイバーエージェント

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従業員満足度を高めるためにできること:評価制度の見直し

従業員の満足度やモチベーションを高めるためには、「評価基準」や「昇給基準」を明確にし、公平性の高い評価制度を構築することが重要です。

「どうしてこの評価なのか」「どうして昇給できないのか」などの質問に対して、きちんと説明できないような曖昧な評価制度は、従業員のモチベーション低下につながるため、注意が必要です。

株式会社Colorkrew(カラクル)では、評価プロセスと給与レンジをオープンにすることで、評価制度の透明性を高めています。

「この等級だったら給与はいくら」というように等級と給与が1対1で結びついているため、誰にでも分かりやすい昇給・昇格基準になっているだけでなく、評価・昇給結果に関する質問も、社内SNS上で自由に行われています。こうしたオープンな体制を築くことで、評価業務のブラックボックス化を回避することも可能です。

株式会社Colorkrew(カラクル)

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従業員満足度を高めるためにできること:福利厚生の充実

福利厚生を充実させることで、従業員満足度を高めることも可能です。

福利厚生とは、働きやすい環境を提供するために、会社からプラスアルファで提供するもので、特に求職者からの人気が高い福利厚生としては、「住宅手当」「慶弔金」「財形貯蓄制度」などが挙げられます。

突発的な事象に備えた制度や、安定した生活が送りやすい制度は、人気が高い傾向にあります。

本田技研工業株式会社は、福利厚生が充実している企業としてよく知られています。

「独身寮・社宅」「住宅手当・家賃補助」「食事補助」「積立制度」など、さまざまな福利厚生が用意されています。

また、フレックスタイム制度や定時退社日を設けており、従業員のワークライフバランスを保つことに力を入れています。

福利厚生を充実させることが財源的に難しい場合は、テレワークなどの在宅勤務制度やフレックスタイム制度を取り入れるなど、働き方の柔軟性を高めることから始めてみても良いでしょう。

本田技研工業株式会社

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従業員満足度を高めるための「組織診断サーベイ」

従業員満足度を高めるためには、現状の「満足度状況」を調査し、従業員の「本音」を知り、それに適した改善策を練ることが大切です。

「仕事内容」「労働環境」「人間関係」など、なかなか知ることが難しい従業員の満足度について、アンケート形式で簡単に調査ができるツールを導入し、アンケート結果の分析データをもとに、従業員満足度を高める施策を進めてみても良いかもしれません。

従業員満足度を高めることは、従業員のためだけではなく、企業にとっても「離職率の低下」「生産性の向上」「顧客満足度(CS)の向上」などのメリットを得ることができます。

従業員の本音を「HRBrain 組織診断サーベイ」で把握

「HRBrain 組織診断サーベイ」では、独自の設問設計によって、組織全体の状態の可視化はもちろん、従業員ひとりひとりにフォーカスした分析が可能です。

改善アクションに直結した設問項目で、従業員満足度の向上を実現します。

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組織サーベイとは?目的や従業員満足度調査・社内アンケートとの違いを解説

HR大学編集部
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