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従業員満足度(ES)とは?満足度構造や各社の取り組み事例を紹介!

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従業員満足度(ES)とは?満足度構造や各社の取り組み事例を紹介!

目次

    本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。

    従業員満足度(ES)とは?

    従業員満足度とは、職務内容・労働環境・人間関係・金銭待遇・福利厚生などにおける「従業員の満足度」を表す指標のことです。英語では「Employee Satisfaction」と訳され、略して「ES」と呼ぶこともあります。

    「自分の能力に合った仕事ができている」「成長が実感できる」「職場に嫌な人がいない」といった仕事環境では満足度が高い傾向にあり、逆に「頑張っても給料が上がらない」「福利厚生がない」「残業が多すぎる」といった環境では満足度が低い傾向にあります。

    アメリカの心理学者エドウィン・A・ロック氏は「従業員満足度」について、「個人の仕事への評価や仕事からの経験によってもたらされる喜ばしい、もしくは肯定的な感情」と定義しており、研究分野では「Employee Satisfaction」のほか、「Job Satisfaction」と表現されることもあります。

    従業員満足度が重視されるようになった背景

    「従業員満足度」に注目する企業は年々増えてきています。転職が一般化したことや、副業が解禁されたことで人材の流動性が高まり、「人材の確保と流出防止」が企業にとって喫緊の課題になったためです。また、少子化にともなう労働人口の減少も「従業員満足度」が重要視される要因となっています。

    厚生労働省雇用政策研究会によるシナリオ推計では「労働力・就業者数」に関して、以下のような予測もされており、労働人口の減少は、今後着実に進んでいく見通しとなっています。

    ■経済成長と労働参加が進んだ場合
    就業者数6530万人(2017年)⇒6024万人(2040年)

    ■経済成長と労働参加が進まない場合
    就業者数6530万人(2017年)⇒5245万人(2040年)

    また働き方の多様化も進み、企業に属さない「フリーランス」として働く人も増えています。「より良い労働条件・職場環境」を求めて、転職・独立するケースが増えつつあるため、企業には「ずっと働き続けたい」と思えるような、環境整備に対する努力が求められているのです。

    従業員満足度が向上することで得られるメリット

    「従業員満足度を向上させたところで、得をするのは従業員だけ」と思われがちですが、実際には企業側にもメリットがあります。むしろ、従業員満足度を向上させることで、企業と従業員の間に「win-winの関係」を構築することができるでしょう。ここでは、従業員満足度を向上させることで得られる、企業側のメリットを紹介していきます。

    メリット1:生産性の向上

    労働条件や労働環境に不満がない場合、本来の業務に集中して取り組むことができるため、仕事に対して前向きな姿勢になり、生産性が高まります。また、生産性が向上することで業務のPDCAサイクルが早く回るようになるため、業績の向上も期待できるでしょう。目に見える結果が出ることで、従業員のモチベーションがさらに高まることも期待できます。

    メリット2:顧客満足度の向上

    従業員満足度が高まると、従業員エンゲージメントも高まる傾向があり、それにともない顧客満足度の向上も期待することができます。従業員エンゲージメントとは、企業や自社商品に対する愛着度合いを示す言葉です。「もっと自社サービスの良さを知ってほしい」といった気持ちから、商品やサービスの質に磨きがかかったり、改善箇所に積極的に取り組むようになったりするため、顧客評価が高まります。

    メリット3:離職率の低下

    職務内容・労働環境・人間関係・金銭待遇・福利厚生の満足度が高い企業は、従業員が「転職」にメリットを感じることが少ないため、離職率が低い傾向にあります。そのため、採用コストや人材育成コストを削減することができます。また、リファラル採用を取り入れている場合は、「友人にポジションを紹介したい」という従業員が多いため、求人広告を打たずに良い人材を採用できるケースもあります。

    従業員満足度(ES)の仕組み

    「従業員満足度を向上させたいけど方法が分からない」という場合は、まず根本的に満足度の構造について知ることが大切です。ここでは、マズローの欲求5段階説と、ハーズバーグの二要因理論に触れ、従業員満足度の成り立ちについて紐解いていきます。

    マズローの欲求5段階説

    マズローの欲求5段階説とは、アメリカの心理学者アブラハム・H・マズロー氏によって提唱された「人間の欲求構造」についての理論です。

    マズローの欲求5段階説

    生理的欲求・安全欲求・社会的欲求・承認欲求・自己実現欲求という5つの欲求について、下層の欲求から順番に満たしていく、という人間の心理的行動を理論化したものです。ひとつひとつの内容について解説していきます。

    ■生理的欲求
    生命維持のために必要な、もっとも基礎的な欲求です。食欲・睡眠欲・排泄欲などが当てはまり、動物に備わっている本能的な欲求になります。「仕事が忙しすぎて寝る暇がない」「業務中に休憩・トイレに行けない」などの環境は、「生理的欲求」を満たすことができない環境であり、生命維持に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

    ■安全欲求
    心身ともに健康かつ経済的にも安定した暮らしを求める欲求です。精神的に不安定な状態や、経済的に困窮している状態、自分がいつどうなるか分からない環境では、「安全欲求」は満たされません。そうした場合は、少しでも快適に過ごせる環境を求めて行動する傾向があります。

    ■社会的欲求
    家族・友人から愛情を受けたり、組織に受け入れられたりすることを求める欲求です。「帰属欲求」とも呼ばれ、この欲求が満たされていないと孤独や社会的不安を感じるようになります。また、満たされない状態が継続することで不安な気持ちが増幅し、鬱症状を発症することもあります。

    ■承認欲求
    他者からの承認や賞賛を求める欲求です。自分が出した成果が褒められたり、行動について賞賛されたりすることで満たされます。承認欲求が満たされると、モチベーションが向上し、成長意欲が湧く傾向にありますが、承認欲求が満たされないと、劣等感を感じやすくなる傾向があります。

    ■自己実現欲求
    自分らしく生きることを求める欲求です。「好きなことを仕事にしている」「描いていた理想の生活が送れている」と思える状態は、自己実現欲求が満たされている状態です。いくら仕事で評価されていて、他者から羨ましがられるようなキャリアを築いていたとしても、「本当に自分がやりたいこと」ができていないと、この欲求を満たすことは難しくなります。

    これら5つの欲求が満たされている従業員が多ければ多いほど、従業員満足度も比例して高くなる傾向にあります。そのため、まずは自社の職場環境や制度が、これらの欲求に応えられるものになっているかどうか、振り返ることが大切になってきます。

    ハーズバーグの二要因理論

    ハーズバーグの二要因理論とは、フレデリック・ハーズバーグ氏によって発表された理論で、「満足度を高める要因(動機付け要因)」と「満足を低下させる要因(衛生的要因)」は別物であるという考え方です。従業員の生産性を高めるには、衛生的要因を整備したうえで、動機付け要因のレベルを上げていく必要があり、双方のバランス調整がとても重要なポイントになるのです。

    ■動機付け要因
    仕事自体への興味関心・責任権限・昇進・達成・承認などが動機付け要因となります。マズローの欲求5段階説における、「自己実現欲求」や「承認欲求」がこれに当てはまります。
    これらの要因における満足度が低かったからといって、すぐにやる気が低下するわけではありませんが、満たされれば満たされるほどモチベーションが高まったり、生産性が高まったりする傾向にあります。そのため「動機付け要因」のほか、「促進要因」と呼ばれることもあります。

    ■衛生的要因
    経営方針・管理体制・人間関係・給与待遇・福利厚生などが衛生的要因になります。マズローの欲求5段階説の中の、「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」がこれに当てはまります。
    これらの要因に関しては、不満を感じると離職や休職につながる場合がありますが、満足したからといって、必ずモチベーションや生産性の向上につながるわけではありません。また「給与を必要以上に引き上げる」といった過度な施策は、そのうち「それがあたりまえ」といった感覚になっていくため、慎重に検討することが大切です。高い満足度を目指すというよりは、「不満に感じない水準を保つ」ということが重要なのです。

    ハーズバーグの2要因理論

    動機付け要因と衛生的要因は、どちらか一方だけ満たされていても意味がありません。動機付け要因だけ満たされている状態は「やりがい搾取」の状態になりかねず、従業員は心身・経済的に疲弊していく恐れがあります。また、衛生的要因だけ満たされている状態は「このままで良いのだろうか?」「もっと自分のやりたいことをしたい」という思いから、離職につながる可能性があります。まずは衛生的要因に関する不満を取り除き、徐々に動機付け要因の満足度についても高めていけるような環境整備を行うことが望ましいでしょう。

    従業員満足度向上のためにできることとは?事例も紹介!

    前述した「マズローの欲求5段階説」や「ハーズバーグの二要因理論」をふまえて、従業員満足度を上げるためには具体的にどのような施策が必要なのでしょうか。ここでは、企業理念の浸透・業務内容の適正化・社内コミュニケーションの活性化・評価制度の見直し・福利厚生の充実といった5つの観点から、企業の実例も交えて施策を紹介していきたいと思います。

    企業理念の浸透

    企業理念は、会社の「価値観」や「行動指針」を示すものです。そのため、企業理念が従業員にしっかり浸透している企業は、組織として一体感が生まれており、生産性やサービスレベルも高い傾向にあります。定期的に会社のビジョンや方向性について発信したり、1on1ミーティングを行ったりすることで、従業員ひとりひとりが自分自身の行動について振りかえることができる機会を設けると良いでしょう。

    たとえば、マリオット・インターナショナルが運営している『ザ・リッツ・カールトン』では「クレドカード」と呼ばれる、名刺サイズのカードを従業員に配布しています。クレドカードには会社のビジョンや行動指針が書かれており、取るべき行動に迷った時は見返せるようになっているだけでなく、毎シフトごとに読み合わせも行われています。また、企業理念への理解が浅い入社1年目の従業員に対しては、理念への理解を深めるため、研修に約300時間もの時間が割かれています。

    ▽「クレド」についてさらに詳しく知りたい方は、こちらもご確認ください。
    クレドとは何か。導入メリットから作成手順、浸透方法までを紹介

    業務内容の適正化

    「自分に合った仕事ができている」「自分の能力を活かして仕事ができている」と感じられると、従業員満足度は高まります。最近では、ポジションごとに人を採用する「ジョブ型雇用」も増えてきていますが、「新入社員は必ず営業から」「最初の1年は全員現場から」など、個人の適性とは関係なく人材配置をするケースも多くあります。希望するポジションに適したスキルを保有している場合や、明らかに向いていないポジションに配置されている場合は、業務の適正を考えて配置転換を行うなどの対応が必要です。

    株式会社ディー・エヌ・エーでは、「シェイクハンズ制度」という自社特有の人事制度を設けています。この制度は、従業員本人と異動先の上長が合意すれば異動が成立する、という制度で人事や現部署の上長の承認などは不要です。本人の希望に沿ってアクションを起こすことができる制度のため、ポジションのミスマッチがおきにくく、仕事内容への満足度も高まりやすくなると言えます。

    社内コミュニケーションの活性化

    風通しの良い企業は、従業員の心理的安全性が確保されているため、商品やサービスをより良くするためのアイディア交換も活発に行われる傾向があります。社内報やチャットツールなどを活用して、情報をキャッチしやすい環境づくりをすることが大切です。また、社内で特定のデスクを持たない「フリーアドレス制度」もおすすめです。従業員同士のコミュニケーションが活発になり、業務も進めやすくなるでしょう。

    サイバーエージェントでは、業務上の接点がない従業員ともコミュニケーションが取れるようにするため「シャッフルランチ制度」を導入しています。また、入社したばかりの従業員のデスクには「ウェルカムバルーン」と呼ばれる風船が設置されており、気軽に話しかけられるような配慮もされています。新卒社員や中途社員は、今後の人間関係に不安を抱えているケースが多くなっているため、こうした「会社になじみやすい環境づくり」は大切です。

    ▽心理的安全性についてさらに詳しく知りたい方は、こちらもご確認ください。
    心理的安全性が高い組織を作るには?測定方法や対策をチェック

    評価制度の見直し

    従業員の満足度やモチベーションを高めるためには、評価基準・昇給基準を明確にし、公平性の高い評価制度を構築することが重要です。「どうしてこの評価なのか」「どうして昇給できないのか」などの質問に対して、きちんと説明できないような曖昧な評価制度は、従業員のモチベーション低下につながるため注意しましょう。

    評価制度にもさまざまですが、株式会社Colorkrewでは、評価プロセスと給与レンジをオープンにすることで、評価制度の透明性を高めています。「この等級だったら給与はいくら」というように等級と給与が1対1で結びついているため、誰にでも分かりやすい昇給・昇格基準になっているだけでなく、評価・昇給結果に関する質問も、社内SNS上で自由に行われています。こうしたオープンな体制を築くことで、評価業務のブラックボックス化を回避することも可能です。

    福利厚生の充実

    福利厚生を充実させることで、従業員満足度を高めることも可能です。福利厚生とは、働きやすい環境を提供するために、会社からプラスアルファで提供するもので、特に求職者からの人気が高い福利厚生としては、「住宅手当」「慶弔金」「財形貯蓄制度」などが挙げられます。突発的な事象に備えた制度や、安定した生活が送りやすい制度は、人気が高い傾向にあります。

    福利厚生が充実している企業としてよく知られているのは、本田技研工業株式会社です。「独身寮・社宅」「住宅手当・家賃補助」「食事補助」「積立制度」など、さまざまな福利厚生が用意されています。また、フレックスタイム制度や定時退社日を設けており、従業員のワークライフバランスを保つことに力を入れています。福利厚生を充実させることが財源的に難しい場合は、在宅勤務制度やフレックスタイム制度を取り入れるなど、働き方の柔軟性を高めることから始めてみても良いでしょう。

    まとめ

    従業員満足度を高めるためには、現状の満足度状況を知り、それに適した改善策を練ることが大切です。最近では「仕事内容」「労働環境」「人間関係」などの満足度について、アンケート形式で簡単に調査ができるツールも増えてきているため、活用すると良いでしょう。

    HRBrainは、あらゆる人事情報を一元化するタレントマネジメントシステムです。人事評価や、人材情報管理だけでなく、付随しているアンケート機能で、質問項目の策定やデータの収集・集計・分析をカンタンに行うことができます。「従業員満足度調査のやり方が分からない」「調査結果の分析が上手くできず、改善につながらない」などの悩みがある方は、ぜひ資料請求導入を検討してみてください!

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    HR大学 編集部

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