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コアコンピタンスとは?使い方・企業例、ケイパビリティとの違いを解説

コアコンピタンスを解説

コアコンピタンスとは?使い方・企業例、ケイパビリティとの違いを解説

目次

    コアコンピタンスとは?

    コアコンピタンスとは

    企業の競争戦略には欠かせないワードになっているコアコンピタンス。どのような意味なのか説明するとともに、よく対比されるケイパビリティとの違いについても解説します。

    コアコンピタンスとは

    コアコンピタンス(Core competence)とは、「企業の中核能力」を指すビジネス用語です。1990年、アメリカの経営学者であるC.K. プラハラードとゲイリー・ハメルによって「コア・コンピタンス経営」にて提唱された概念です。

    コアコンピタンスは、次の3つの要件を兼ね備えることが条件としています。

    • 顧客に何らかの利益をもたらす自社能力
    • 競合相手に真似されにくい自社能力
    • 複数の商品・市場に推進できる自社能力

    コアコンピタンスの意味

    コア(中心・核)とコンピタンス(能力)からなるワードで、コンピタンスのなかでもコアになるものがコアコンピタンスです。

    顧客の利益をもたらす競争優位を生み出す源泉であり、「他社に真似できない自社ならではの中核能力」と定義されています。企業に内在する中核能力が持続的な競争優位の源泉であるという考え方で、C.K. プラハラードらは、シャープの液晶技術、ホンダのエンジン技術をコアコンピタンスの例としてあげています。

    コアコンピタンスとケイパビリティの違いと関係性

    コアコンピタンスとケイパビリティ

    コアコンピタンスとケイパビリティは、ともに経営戦略論における「企業の強み」を指す代表的なワードですが、どのような違いがあるのでしょうか?ここでは、コアコンピタンスとケイパビリティとの違いや関係性について説明します。

    ケイパビリティとは

    ケイパビリティとは、自社がもつ、あるいは得意とする組織的能力を指すビジネス用語です。1992年、BCGのジョージ・ストークス、フィリップ・エバンス、ローレンス E.シュルマンの3名によって提唱された概念です。

    たとえば、「研究開発力」「独自の技術力」「マーケティング力」などの組織的能力があげられます。

    コアコンピタンスとケイパビリティの違い

    コアコンピタンスとケイパビリティはともに企業の強みを指すワードですが、ケイパビリティを提唱したジョージ・ストークスらは次のように説明しています。

    コアコンピタンス
    バリューチェーン上における特定の技術力

    ケイパビリティ
    バリューチェーン全体に及ぶ組織的能力

    コアコンピタンスは特定の技術力、ケイパビリティは組織的能力(ビジネスプロセス)に、企業の強みをそれぞれ異なる視点でフォーカスしていることに違いがあります。

    C.K. プラハラードらは、ホンダのコアコンピタンスを「エンジン技術」、ジョージ・ストークスらは、ホンダのケイパビリティを「優れたディーラー管理力」「スピーディーな製品開発力」などをあげています。


    コアコンピタンスはケイパビリティの集合体

    ケイパビリティは、コアコンピタンスに包含される関係にあります。

    コアコンピタンスは、複数のコンピタンスから成り立ち、コンピタンスを形作る要素として、組織能力であるケイパビリティがそれぞれ存在しています。つまり、コアコンピタンスはケイパビリティの集合体であると整理できます。

    たとえば、コアコンピタンスが「技術力」とした場合、技術力を構成する「独自のマーケティング力」「スピーディーな研究開発力」「熟練した技術者の技術力」などがケイパビリティとなります。

    「企業の強み」をそれぞれ違う切り口で着目していることがポイントです。

    インサイド・アウト戦略によるコアコンピタンス経営

    コアコンピタンス経営

    近代経営戦略論において、従来主流であった外部環境に適応するためのアウトサイド・インから、1990年代には、対極となる内部環境を活かすためのインサイド・アウトの考え方が台頭しています。ここでは、インサイド・アウトへの変遷、インサイド・アウトによるコアコンピタンス経営の重要性について説明します。

    知っておきたい、アウトサイド・インとインサイド・アウトの理論の違い

    時代の変遷とともに、プロダクト・ライフサイクルの短期化など不確実な経営環境を背景に、1990年代に入ると旧来のアウトサイド・インとは対極となるインサイド・アウトの考え方が台頭しました。

    アメリカの経営学者マイケル・ポーターは、アウトサイド・インの考え方により、1985年「競争優位の戦略」にて「ポジショニング・ビュー」を提唱しています。これは、外部環境である「機会」「脅威」を重点において、自社のポジショニングを定める競争戦略の考え方です。

    ポジショニング・ビューは、外部環境が安定していることが前提にありますが、経営環境の激化を背景に、ポジショニング・ビューの限界が指摘されました。

    そのようななか、内部環境である「強み」を重視するインサイド・アウトの考え方により、対局となるコアコンピタンスやケイパビリティが提唱されたのです。これらは、内部資源論といわれる「リソース・ベースド・ビュー」といわれています。

    しかし、マイケル・ポーターは、1996年「戦略の本質」で戦略の成功要因をコアコンピタンスなどによって説明すると、間違いにつながる可能性があると指摘していることに留意が必要です。必ずしも、どちらの理論が優れているということではなく、両者の理論は、企業の強みを見る「視点の違い」であるといえるでしょう。

    インサイド・アウト戦略によるコアコンピタンス経営の重要性

    インサイド・アウトは、内部環境である企業の強みに着目しており、特定のモノを指すものではありません。外部環境を重視するアウトサイド・インと比較すると、需要動向の変化など市場環境に左右されにくいと考えられます。市場変化に左右されないためのコアコンピタンスを見極め、ケイパビリティ(=組織的能力)をより高めることが重要です。

    ただし、革新的なITの進化により、ビジネスのライフサイクルが極めて短期化している昨今、企業の強みのみに着目するだけでは市場環境に対応できないこともあります。インサイド・アウトの考え方においても、外部環境を考慮し、コアコンピタンスを育成し続ける必要があるといえるでしょう。

    【ステップ3】強みの絞り込み
    コアコンピタンスの形成は、少なくとも5〜10年、あるいはそれ以上の長い年月がかかることもあります。これを念頭に、自社のコアコンピタンスを適切に見極めて、長期的なビジョンを具体的に持ち、必要なケイパビリティを高めていくことがコアコンピタンス形成のポイントです。

    ケイパビリティを高める方策として、属人化しているノウハウなどの暗黙知を組織メンバーに共有することで組織力を高める「ナレッジマネジメント」があげられます。

    ナレッジマネジメントついて詳しく知りたい方は、「 【ノウハウまとめ】人事・ビジネスで使えるナレッジマネジメント」をご参考ください。

    また戦略人事の観点では、ケイパビリティを高めるために、KSF・KPIを定めて、ナレッジマネジメントに取り組むことが有効でしょう。

    KSF・KPIについて詳しく知りたい方は、「 【完全版】人事のためのKSFとは。KPI・KGI・OKRとの違い」をご参考ください。

    コアコンピタンスの見極める手順と使い方

    コアコンピタンス手順

    長期的なビジョンを描くために重要なコアコンピタンスの見極め。ここでは、コアコンピタンスを見極める5つの視点と手順について説明します。

    コアコンピタンスを見極める5つの視点

    C.K. プラハラードらは、著書「コア・コンピタンス経営」にて、コアコンピタンスを見極めるためには、次の5つの視点があると説明しています。

    • 模倣可能性(Imitability)
    • 移動可能性(Transferability)
    • 代替可能性(Substitutability)
    • 希少性(Scarcity)
    • 耐久性(Durability)


    他社が真似できない(模倣可能性)、他分野に応用できる(移動可能性)、代替が効かない(代替可能性)、希少価値が高い(希少性)、長期に競争優位を保てる(耐久性)のそれぞれの観点で自社を評価します。

    この5つの視点で評価することで、コアコンピタンスを正しく見極め、競争優位を確立していくのです。

    コアコンピタンスを評価する3つのステップ|フレームワークも活用できる!?

    コアコンピタンスの形成は、長期にわたる取り組みであることから、正しく見極める必要があります。ここでは、コアコンピタンスを見極める手順を説明します。

    【ステップ1】強みの抽出
    コアコンピタンスとなり得る自社の強みを抽出します。

    抽出方法は、自由な発想でアイデアを出し合うブレーンストーミングの方法があります。

    技術力や能力のみにフォーカスすることなく、組織文化などあらゆる視点で行いましょう。特定部門だけでなく、社内のあらゆる部門のメンバーで実施することで、多角的な視点で分析できることもポイントです。

    自社の内部環境と外部環境を分析することで、戦略立案を行う「SWOT分析」を用いることも有効でしょう。

    SWOT分析を詳しく知りたい方は、「 【実践】人事フレームワークまとめ・KSF活用。SWOT/PEST分析」をご参照ください。

    【ステップ2】強みの評価

    抽出した強みをリスト化し、次にあげるコアコンピタンスの3条件に当てはまるかを評価します。

    • 顧客に何らかの利益をもたらす自社能力
    • 競合相手に真似されにくい自社能力
    • 複数の商品・市場に推進できる自社能力

    リスト化した強みを相対評価するには、点数化する必要があります。ただし、基準がないと点数化は困難ですので、ベンチマークする競合他社と比較し、相対比較にて点数化します。定量化が困難な場合は、定性的に求める基準を100として評価することも考えられます。

    抽出した強み毎に評価を行い、点数の高い強みがコアコンピタンスとなる可能性が高いと評価ができます。

    強みAのコアコンピタンス分析

    強みAのコアコンピタンス分析

    【ステップ3】強みの絞り込み
    ステップ2で評価した強みのうち、コアコンピタンスとなる可能性が高い強みを更に絞り込みます。絞り込みには、コアコンピタンスの5つの視点を見極めることで行います。

    • 模倣可能性(他社が真似できない)
    • 移動可能性(他分野に応用できる)
    • 代替可能性(代替が効かない)
    • 希少性(希少価値が高い)
    • 耐久性(長期に競争優位を保てる)

    コアコンピタンスは、将来に渡り自社の経営を支えるものです。単なる点数評価ではなく、SWOT分析やPEST分析、3C分析などのマーケティング分析の手法を用い、一つひとつの項目をしっかりと精査しま
    しょう。

    PEST分析を詳しく知りたい方は、「 【実践】人事フレームワークまとめ・KSF活用。SWOT/PEST分析」をご参照ください。

    3C分析を詳しく知りたい方は、「 3C分析とは?SWOT分析との関係性、やり方などを簡単に解説」をご参照ください。

    コアコンピタンスの知っておきたい企業例

    コアコンピタンス企業例

    自社のコアコンピタンスを形成していくには、コアコンピタンスの成功事例を知っておく必要があるでしょう。ここでは、コアコンピタンスの知っておきたい企業例を紹介します。


    本田技研工業株式会社
    排出ガスによる大気汚染規制を目的に、1970年に改正されたアメリカの大気浄化法(マスキー法)は、不可能とも思われる厳しい基準で、当時、世界中の自動車メーカーは途方に暮れていました。

    本田技研工業株式会社はこれをチャンスと捉え、大気汚染対策の専門部隊を設立し、圧倒的な開発スピードで低公害技術を駆使したCVCCエンジンを開発しました。

    このエンジン技術をオートバイや芝刈り機などあらゆる分野に応用し、コアコンピタンスとして確固たるものとなったのです。


    トヨタ自動車株式会社
    トヨタ自動車株式会社では「必要なものを」「必要なときに」「必要な量だけ」つくるトヨタ生産方式を確立することで、サプライチェーンの最適化を実現し、コアコンピタンスを確立しています。

    このトヨタ生産方式が「販売のトヨタ」といわれる所以ですが、サプライチェーンの最適化だけではありません。

    トヨタ生産方式には、問題解決の考え方として「なぜを5回繰り返す」という「カイゼン」のメゾットも盛り込まれていますが、このカイゼン精神は同社の重要なコアコンピタンスの一つといえるでしょう。

    富士フイルム株式会社
    富士フイルム株式会社のカメラフィルム事業は、デジタルカメラの普及により、大きな需要減退に見舞われました。

    しかし同社は、カメラフィルムの需要減退に先んじて、「精密な技術力」「コラーゲンを生み出す技術力」を医療やスキンケア化粧品などの事業分野に応用することで、収益確保を図ったのです。

    自社のコアコンピタンスを見極め、これまでとは全く異なる分野に事業展開するチャレンジ精神が成功につながったといえるでしょう。


    【まとめ】見極めたコアコンピタンスの形成に向けてKSFからナレッジマネジメント!?

    コアコンピタンスの形成は、長期わたる取り組みであることから、コアコンピタンスを適切に見極める必要があります。

    見極めたコアコンピタンスの形成に向けて、必要なケイパビリティを高めるために、KSF・KPIを定め、ナレッジマネジメントに取り組むことがポイントになります。

    コアコンピタンスを適切に見極めるため、コアコンピタンスを評価する3つのステップを活用するとともに、SWOT分析やPEST分析、3C分析などのフレームワークも活用しましょう。

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    HR大学 編集部

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