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【人事必見】AI人材の採用/育成課題とは?制度とプログラムを解説

AI人材の採用/育成課題

【人事必見】AI人材の採用/育成課題とは?制度とプログラムを解説

目次

    AI(人工知能)の活用が企業で浸透していくなかで、AIをビジネスへ活用できるAI人材の需要が拡大しています。今回はAI人材の採用、育成する際の課題、また、その課題に対応するための制度とプログラムについて解説します。

    AI人材の定義、求められる背景とは

    AI人材の定義、求められる背景

    2020年代に入り、あらゆる分野でAI(人工知能)の活用が拡大しています。日本政府の 統合イノベーション戦略推進会議では「 AI戦略 2019」の中で、2019年3月、AI技術を活用できる人材を年間25万人育成する計画を発表し、AIを活用できるAI人材が今後、必要となることを強く印象付けました。

    ここでは、AI人材とはどのような人材なのか、一般的な定義と求められる背景について見ていきます。

    なお、AI人材を包含する概念にデジタル人材があります。デジタル人材について詳しく知りたい方は「 デジタル人材とは?採用から育成~定着のポイント・事例を解説」を合わせてご覧ください。

    AI人材の定義とは

    文部科学省の「 AI人材育成の取組」によると、AI人材を次の3つに分類し、定義しています。

    ・AIの問題を解決する人材
    AI研究者が該当します。AIに関連する応用研究を通じて、AIの標準化を行う役割を担っています。AI研究者の中には、大学でAIをテーマに博士号や修士を取得した人もいます。そうした人たちはAIの新たなアルゴリズムを提案することも業務の一部に含まれています。

    ・AIを具現化する人材
    AIエンジニアやAIプログラマーが該当します。AIエンジニアは、AIの特質を正確に理解した上で、システムの企画や設計を行う人材で、構築したAIを周辺技術とかけ合わせて、実装する役割を担っています。AIプログラマーは、データやライブラリを活用し、AIの構築を行う役割を担っています。AIエンジニアとの違いを説明すると、AIシステムの企画や設計を行うのが、AIエンジニアで、AIシステムをプログラミングを用いて具現化するのが、AIプログラマーです。

    ・AIを活用する人材
    AIプランナーが該当します。AIプランナーは、AIを有効活用するための企画や業務設計を行い、周囲との調整を行う役割を担っています。AIエンジニアやAIプログラマーのようなスキルがなくても活躍できますが、AIの性質を十分に理解した上で、ビジネスに活用していく柔軟性が必要です。

    AI人材とIT人材の違い

    AI人材はIT人材と混同されるケースがあります。両者の違いを具体的に見ていきます。

    ・業務の目的の違い

    【IT人材の業務】
    人が問題の解決方法や判断ルールをプログラムして、システムがそのプログラムに即して、問題を処理することを目指します。

    【AI人材の業務】
    AIが自ら問題の解決方法や判断ルールを創造することを目指します。

    ・求められる知識・技能の違い

    【IT人材の知識・技能】
    ITシステムの構築や運用、管理などに長けており、プログラミングや情報処理、クラウドなどといったエンジニアリングやシステム開発に関する知識、技能が求められます。

    【AI人材の知識・技能】
    エンジニアに関する知識、技能に加え、データ分析・解析に関する知識、技能が求められます。IT開発は事前に完成形を定義してから、開発を行うのに対し、AI開発ではAIの精度を向上するため、求める結果が実際に得られるのかあたりをつけたり、必要な要件を都度判断して開発を行うためです。
    業務の目指すべきところもさることながら、知識・技能についても既存のIT人材より高いレベルのものが求められます。

    AI人材が求められる背景

    AI人材が求められる背景を見ていきます。

    ・AI活用で世界に後れをとる日本企業

    企業において、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT、事業活動へのビッグデータの活用など、AIが及ぼす影響は2020年代に入って、ますます大きくなっています。企業活動の成否を握る鍵として、AIの活用は必須となっています。

    そうした状況下で、日本は海外に比べてAI分野の発展が遅れています。セールスフォス・ドットコムが、2019年に日本企業および、国内の外資系企業を対象に、AIの企業活動への活用に関する調査を実施しました。その調査で、実際に業務でAIを利用している企業の割合が、外資系企業が2割を超えている一方で、日本企業はその半数の1割に留まりました。また、ビッグデータを蓄積・分析し、業務に活用している企業の割合は外資系企業が4割近かったのに対し、日本企業はその半数の2割でした。日本企業では海外の企業と比べて、企業活動におけるデータ活用が進んでいない現状が浮き彫りになりました。

    ・AI人材の不足

    企業経営におけるAI活用が進んでいない背景には、AIの知識、技能を持つ人材が不足していることが考えられます。経済産業省の「 IT人材需給に関する調査」の試算によると、2020年時点で4.4万人、2025年には8.8万人、2030年には12.4万人のAI人材が不足すると言われています。そうした中、海外に目を向けると、AI人材の争奪戦が熾烈となっており、外資系企業のAIエンジニアの平均年収は日本企業の水準を大きく上回っています。人材が不足している中、処遇に起因した海外への流出リスクもあり、今後ますます日本国内におけるAI人材の需要は高まっていくと言えるでしょう。

    海外と国内企業で比較。AI人材の市場価値/年収は?

    AI人材の市場価値と人事制度

    希少性が高いAI人材ですが、海外・国内における市場価値を見ていきます。

    海外におけるAI人材の市場価値

    海外と国内におけるAI人材の市場価値について解説します。前章のAI人材が求められる背景で説明した通り、AIの知識、技能を有した人材は世界的に見ても希少価値が高くなっています。その為、処遇面で桁違いの好条件が提示されることが往々にしてあります。

    ・米国のAIエンジニアの年収は3,300万~5,500万円

    アメリカで博士号を取得したAIエンジニアの平均年収は、約30万~50万ドル(約3,300万~5,500万円)だと言われています。同国は雇用の流動性が高い為、システムのリプレイス等の場面で高い知識、技能を持つAIエンジニアが必要な際に、破格の待遇を提示する特徴があります。新卒に対しても例外はなく、シリコンバレーにおいては、約20万ドル(約2,200万円)近い年収を提示する企業があるようです。

    具体的な企業事例として、データベースソフトウェアで知られる企業の オラクル株式会社は、優秀なAIエンジニアを他社から移籍させるために2018年に600万ドル(約6億6,000万円)という年俸を提示し話題になりました。

    ・中国の新卒AIエンジニアの年収は30万~60万人民元

    中国の技術系求人サイト、「 100offer.com」によると、中国のAI関連企業で働くトップ卒業生の年収は30万~60万人民元(約500万~1,000万円)のようです。中国では2014年~2018年の間で、この分野の給与水準が倍増したことから今後も年収水準が伸びる可能性があります。具体的な企業事例として、携帯電話で有名な中国の ファーウェイ・テクノロジーズ株式会社は、新卒従業員8名に対して2019年に約90万~200万人民元(約1,400万~3,400万円の年俸を提示しました。

    国内におけるAI人材の市場価値

    海外のAIエンジニアに対する破格の待遇と比べると、日本の対応は既存のIT人材と変わらない待遇であり、海外から遅れをとっていましたが、2019年頃から大企業を中心に大幅な待遇改善を行う動きが見られています。

    ・富士通は高度AI人材に対し、年収2,500万~3,500万円を提示

    総合電機メーカーであり、総合ITベンダーの 富士通株式会社は2019年に、AIやサイバーセキュリティー分野の高度人材を対象に、専門性の高さや市場価値を踏まえて、報酬を個別に設定できる制度の導入を決定しました。企業の業績に多大な貢献をもたらすAI人材に対して、役員レベルの報酬を約束するものです。

    ・NECは新卒AIエンジニアに年収1,000万円を提示

    総合電機メーカーの 日本電気株式会社は2019年に人事制度を改定し、新卒の従業員でも1,000万円以上の年収を得られるようにしました。背景としては、前年にシリコンバレーのAI関連の競合企業とAI開発の分野で渡り合うために、同社の世界的に有名なエンジニアとそのチームを別会社として独立させた経緯があります。同じモデルケースを適用できる後進の人材を生み出すための世界基準の仕組みとして導入したとのことです。

    以上のように国内でも、大企業は世界の人材獲得競争に乗り遅れないよう、AI人材の待遇を破格なものにしています。

    AI人材を採用・雇用維持するための人事制度・育成制度とは

    AI人材を採用・維持するための人事制度

    これまで見てきたようにAI人材の獲得競争は熾烈です。AI人材を採用し、雇用維持するために通常従業員とは処遇・育成の仕組みを別建てにし、AI人材が企業でやりがいをもって研究に専念できる環境を整える必要があります。

    高額の報酬を設定できる人事制度

    市場価値のところで述べたように、AIのハイレベルなエンジニアを確保し、維持するためには高額の報酬を用意する必要があります。そのためにはAI人材に特化した人事制度の構築が急務です。

    ・AI人材職種の給与制度

    AI人材を必要とする大企業では、通常の従業員とは給与の仕組みを別建てにして、新卒からでも高い金額を支払えるようにしています。採用するAI人材に対し個人別に給与を設定するのではなく、制度化する狙いとしては、企業が多くの人材を新卒の内から採用し中長期的に育成、雇用維持していく方針を打ち立てていることが伺えます

    ・AI人材職種の評価、昇降格制度

    企業が高額の報酬を支給する理由として、企業のAI開発に多大な貢献をして、業績の向上をもたらしてくれる期待があります。裏を返すと期待を下回る成果だった場合、高額の報酬は見合わなくなるため、評価、昇降格の仕組みは、通常の従業員と比べて厳しいものになっています。成果が一定基準を下回ると、AI人材職種としての認定を取り消したり、退職を促す企業もあります。逆に企業が期待する以上の成果を出した場合、市場価値に見合う処遇に設定するため、上位のポストに抜擢されます。通常の従業員と比べて成果との連動性が極めて高い制度設計になっているといえます。

    充実した育成制度

    企業内のAI人材に対する育成の仕組みが整っているかどうかも、採用・雇用維持の成否を握ります。

    ・AI人材の育成プログラム

    AI研究開発の質の向上と規模拡大を狙いとして、体系化したAI人材の育成プログラムを導入している企業があります。

    株式会社東芝では、2019年に東京大学と共同でAI技術者の育成プログラム「 東芝版AI技術者教育プログラム」を開発しました。最新のAI手法を学ぶだけでなく、同社グループが保有する現場のリアルなビッグデータを用いた実践演習により、ビッグデータの利活用を推進できるAI技術者を育成・増強します。こうした仕組みの導入により、AI人材の育成に力を入れていることを社内外に示すことで、AI人材の採用・定着を行っています。

    ・AI人材の能力を発揮できる人材配置

    AI人材の技能、スキルを最大限引き出すために育成目的で通常の従業員とは異なる人事異動の制度を整備している企業もあります。例えば、 トヨタ自動車株式会社ではAI技術の研究・開発強化に向け、新会社をシリコンバレーに設立するとともに、マサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学との技術提携を締結しました。そうした最先端の技術を手掛ける企業に自社のAI人材を派遣させ、やりがいのある業務をアサインしています。

    AI人材育成の課題とタレントマネジメント

    AI人材育成の課題とタレントマネジメント

    採用したAI人材のやりがいを刺激し、能力を引き出すためには、AI人材に対する育成の課題を抽出し、育成方針を検討したうえで、方針に基づき、タレントマネジメント施策に連携させることが必要です。タレントマネジメントとは、優秀な人材をリストアップし、その層に特化して戦略的な育成、評価を実施することです。

    タレントマネジメントについて詳しく知りたい方は「 【完全版】タレントマネジメントとは?基本から実践的な方法まで解説」を合わせてご覧ください。

    AI人材育成の課題

    企業内でAI人材を育成する際の課題について紹介します。

    ・AI人材の育成方針が曖昧

    AI人材が将来的に何人必要なのか、またどのように育成するか、企業としての方針が定まっていないケースがあります。
    その原因としては、AIをどのような課題を解決するために活用するのか、目的が定まっていないことが考えられます。

    ・育成プログラムの設計が困難

    AI人材の育成手段として、研修を始めとしたAI教育の体系的なプログラムを導入することが困難なケースが見られます。国内企業において、AI案件の絶対数が少なく、教育に活用できる実践的なノウハウがないためです。外部ベンダーのサービスにおいても企業の実際の課題に基づくケーススタディに対応してしているものは少ないのが現状です。

    ・AI人材のOJTでの育成が困難

    OJTを通じてAI人材を育成する場合、育成の対象者が高度な技能、スキルを持っている程、上司が本人の技能、スキルのどの部分が弱くどの部分が強いのか、正確な把握が困難です。結果として本人の技能、スキルを適正に評価できず、専門性を活かし、伸ばすような業務へ適時的確なアサインを行うことができないということになります。

    AI人材の育成方針設計とタレントマネジメント

    AI人材に対する育成の課題への対応策としてのタレントマネジメントについて説明します。

    ・AI人材育成の課題整理と方針設計

    AI人材に対して、タレントマネジメントの導入を検討する前に、企業内における育成方針を検討する必要があります。AI人材の育成の方針を検討するために、まずはAIでどのような課題を解決するか整理しましょう。

    課題は「社内の課題」と「社外の課題」に大別されます。「社内の課題」は業務改善・効率化、「社外の課題」は自社の製品やサービスを用いた社会の課題解決を指します。後者の方が難易度は高く、知識、技能も高い水準が求められます。

    課題が明確になれば、育成の対象者、育成施策の内容範囲の絞り込みができ、育成方針を定めることが可能です。

    「社外の課題」解決にAIを活用する場合は、企業の専門領域や技術を応用して、新たな価値創造や事業の開発につなげられます。優秀なAI人材に特化した評価、育成を行うことにより、その動きにドライブをかけることができます。タレントマネジメントの導入を検討すべきでしょう。

    ・AI人材の育成プログラム設計

    AI案件の数が国内でも絶対的に少なく、教育の体系的なノウハウが少ない中、Off-JTの育成プログラムを設計するためには、現場の協力が鍵になります。自社の現場で活用できるビッグデータがあるか確認した上で、AI教育にそのデータが活用できるか外部の教育ベンダーの知見も得て検証するとよいでしょう。自社内に活用できるデータがないのであれば、Off-JTは行わず、AIの実際のプロジェクトを立ち上げる際にその場をOJTの場と位置づけ、育成目的でのプロジェクトへのアサインを行うことが考えられます。企業内でAI人材育成の実績がない中での仕組みの構築は試行錯誤の連続になりますが、粘り強く継続して取り組むことが重要です。

    一度、プログラムを設計してしまえば、タレントマネジメント施策の一部として取り込み、プログラムの修了履歴やプロジェクトへのアサインの履歴を、他の育成施策、評価、昇格等に連携させることが可能です。

    ・AI人材のOJT育成

    高度なAI人材の技能、スキルを上司が正確に把握することが難しい場合、対応策として関連分野に精通する社内のスタッフや、その技術を実際に活用する従業員やクライアントなど第三者の評価を補足情報として得るということが考えられます。また、その専門性を発揮して実際に企業や組織の事業や業績に貢献できたかという軸で評価を行う方法もあるでしょう。効果的な育成につなげるために評価方法を工夫することが重要です。

    評価、育成の軸が決まってしまえば、タレントマネジメント施策として評価、育成のサイクルを回すことで本人の技能、スキルの向上ひいては企業の事業拡大、業績拡大につなげることができます。他部署への異動履歴やプロジェクトへのアサインの履歴もタレントマネジメントの範囲に加えることにより、育成のための計画的な異動を検討できます。本人の潜在能力をより早期の段階に開花させることができるでしょう。

    以上、AI人材育成の課題とその対応策、タレントマネジメントへの連携について見てきました。まずは、自社の育成の課題を把握した上で、育成方針を設計しましょう。AI人材の育成により、自社の専門領域や技術にAIを活用できれば、新たな価値創造や事業の開発につながります。

    【まとめ】AI人材の育成~定着は今後の企業活動に必須

    機械学習・ディープラーニングなどの技術を扱うAI人材は、最先端のテクノロジーを活用し、組織の成長や価値提供できる人材です。企業の事業活動にAIが与える影響が深化する過程において、企業存続・活性化に必要不可欠な人材と言えるでしょう。

    世界的なAI人材の獲得競争に勝ち残るためにも、採用したAI人材の育成・定着に関わる施策を検討するとともに人事/スキルデータを適切に管理することが必要です。

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    HR大学 編集部

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