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組織開発とは?診断型、対話型って?その手法や企業事例も紹介

組織開発とは?診断型、対話型って?その手法や企業事例も紹介

目次

    本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。

    組織開発(Organization Development)とは

    積み重ねられた本

    組織開発(Organization Development)とは、戦略や制度といった組織のハード面だけでなく、人と人との関係性といったソフト面にも働きかけ、相互作用によって組織を活性化させていくアプローチのことです。略称で「OD」とも呼ばれます。組織開発の目的は、経営者が掲げる組織の目標達成のために、組織と人々の状態を整えることにあります。

    組織開発が注目される背景 

    日本で組織開発が注目されるようになった背景には、「多様化」があります。

    ・全規模・全産業で進む多様化

    これまでの日本は、長期雇用を前提に、同じメンバーでチームワークを大切にしながら組織力を高めてきました。しかし、近年では、性別、国籍、雇用形態や働き方に至るまで、組織の中の多様化が急速に進んでいます。

    厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-」の調査では、「5年前(2013 年)と比較し、企業の内部人材の多様化が進展したか」という質問に対する回答をまとめています。「多様化が進んだ」と回答した企業の割合と、「一様化が進んだ」と回答した企業の割合の差分は、「全規模・全産業」でプラスという結果が示され、多様化が進んだと考える企業が多いことが分かります。

    ・多様化により組織の統一が困難に

    多様化が進んだ結果、組織内に様々な価値観や働き方が存在するようになり、画一的だった時代と比べ、組織の方向性を統一することは難しくなったと言えます。また、多様化に伴い、飲み会や運動会などの従来のコミュニケーションの仕組みも減少しました。テレワークにより、同僚や部下の状況の把握も難しくなる中、組織として同じ方向を向くための取り組みとして組織開発が注目されるようになりました。

    組織開発と人材開発との違い

    組織開発と人材開発の大きな違いは、組織開発が「人と人との関係性」を対象としているのに対し、人材開発は「人」そのものを対象にしている点です。

    そのため、課題に対するアプローチの仕方が異なります。人材開発の場合は「人」を対象にするため、研修やOJTなどにより、個人のスキルを伸ばすことによって課題の解決を試みます。一方、組織開発の場合は「人と人との関係性」を対象とするため、上司や同僚との関係性に良い変化を起こすためのワークショップを設けるなどで課題を解決しようとします。

    人事部門に求められる組織開発とは

    組織開発においては、単なるコミュニケーション活性化のみにとどまらず、 経営の目標に向かって、価値観が共有されている状態であることが必要とされます。そのため、組織開発は個々の組織に任せるのではなく、経営と一体となって人事部門が取り組んでいくべき課題です。人事部門が主体となって組織開発に取り組んでいくために、経営目標を深く理解をすることはもちろん、組織への直接的な介入ができるよう、人事部門のメンバーのコーチングやファシリテーションスキルを強化することも必要です。

    診断型組織開発と対話型組織開発

    パソコンと虫眼鏡

    組織開発のアプローチの仕方は、大きく「診断型組織開発」(Diagnostic Organization Development)と「対話型組織開発」(Dialogic Organization Development)の2つに分けられます。

    診断型組織開発とは

    診断型組織開発は、専門家によって組織の現状を分析・診断し、効果的な介入手段や計画を立てるアプローチです。従業員満足度調査を実施・分析し、満足度を高めるための施策を実行していく、といった取り組みも診断型組織開発のひとつです。診断型組織開発は、客観的な数字で状態を把握することができますが、対象となる組織のメンバーの受け身的な姿勢を生み出してしまうこともあります。

    対話型組織開発とは

    対話型組織開発は、語り方や会話のパターンを「変革すること」で、組織をも「変革すること」ができるという考え方に基づいています。対話を通して、自分たちの組織のありたい姿を明確にし、主体的な取り組みを生み出していくアプローチです。人々の想いから取り組みが生まれてくるので、モチベーションを保ちやすくなります。

    組織開発のフレームワーク

    山と海の景色にかざしたフレーム

    組織開発には様々なフレームワークがありますが、ここでは次の3つをご紹介します。

    OKR

    OKRとは、高い目標を達成するための目標管理手法のことです。O (objective:目標)とKR(key results:主要な結果)を設定し、個人と企業の目標をリンクさせ、目標設定・ 進捗確認・評価という一連の流れを高い頻度で行うことで生産性を上げます。OKRは、 目標を設定するだけでなく、その到達度などについて従業員間での情報共有も必要です。そのため、週ごとに決まった時間を設けて、確認、共有する時間を作ります。 対話を通じて企業の目標を共有し、同じ方向を向くようにするという組織開発の手法のひとつとして有効です。

    OKRについてさらに詳しく学びたい方のために「OKR入門書」をご用意しているのでぜひご活用ください。

    フューチャーサーチ

    フューチャーサーチとは、利害の異なるステークホルダーが一堂に会し、具体的な課題に焦点を当ててアクションプランの作成に取り組む方法です。基本の形としては、8種類の関係者×各8名の64 名を集めた、2.5日間のミーティングを通して、過去や現状の共有を行い、未来の姿に合意して行動計画を立てます。企業の組織開発だけでなく、行政や地域コミュニティ、紛争解決など、世界では様々な領域で活用が進んでいます。

    AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)

     AIとは、ポジティブな問いや探求(インクワイアリー)により、個人の価値や強み、組織における真価を発見し認め(アプリシエイティブ)、それらの価値の可能性を最大限に活かす仕組みを生み出すためのプロセスです。AIでは、「問題は何か」を問うのではなく、「組織や人のもつ強みや潜在力は何か」を考えます。組織や人に活力を与えているものを見つけ、強みや潜在力を発揮できる未来の姿を探求していくのがAIのアプローチです。

    企業における組織開発の事例

    オフィスで話をする5人の男女

    多くの企業で様々な組織開発の取り組みがされていますが、ここでは2つの企業の事例をご紹介します。

    事例1:ヤフー株式会社

    ヤフー株式会社の組織開発は、2012年の経営改革から始まりました。専門チームによる各部門への課題解決の介入を経て、最終的に全社に展開する、というように時間をかけて取り組んでいます。この取り組みの中で始まったのが「1on1ミーティング」です。「1on1ミーティング」とは、人材育成を目的とした施策の一つ。月1回や週1回などの短いスパンで上司と部下が 1対1で行う面談のことです。この「1on1ミーティング」の成果で、上司と部下、つまり縦の関係が強くなっていきました。

    1on1ミーティングについてさらに詳しく学びたい方のために「1on1ミーティング入門書」をご用意しているのでぜひご活用ください。

    「10倍挑戦、5倍失敗、2倍成功」を掲げる同社は、組織開発の取り組みの中で、成功事例だけでなく失敗事例も社内イントラ上に掲載して横展開しました。失敗をあえて見える化し、経験から学び取る組織文化も根付かせました。

    事例2:株式会社アイ・オー・データ機器

    株式会社アイ・オー・データ機器2013年の大規模リストラ後、同社は自主性を発揮できる組織づくりを目指しました。最初に人事スタッフがセミナーに参加して勉強をし、社内に徐々に組織改善の取り組みを広めましたが、従業員の意識変革は困難でした。その後、まずは現在地を知るために、全従業員を対象に組織行動調査を実施したところ、現場と人事スタッフとの価値観のズレが明らかになりました。外部の専門家と共にその結果の議論と分析を繰り返した後、その結論に基づき「OKRの導入」「カンバセーション」「評価制度の変更」の3つの人事施策を立案しています。組織に望ましい影響を与えることができているかを、定期的に調査を行って検証しています。

    【まとめ】診断型組織開発も対話型組織開発もカンタン・シンプルに

    ここまで解説してきたように、組織開発には様々な手法があり、それは人事部門が主導していく必要があります。

    HRBrainは、蓄積した人材データの分析のほか、様々なアンケートの収集・集計ができる人事評価クラウドです。そのほかにもOKR、1on1などの手法もカンタン・シンプルに運用することができ、自社にとって最適な手法で組織開発に取り組むことができます。

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    HR大学編集部

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