人材育成
2023/08/02
人事が知るべきSDGsの基礎知識!SDGsで求められる人材を確保するには
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SDGsとは?
近年「SDGs」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。SDGsの内容を理解しておくことはビジネスパーソンとして非常に重要です。ここではそもそものSDGsとはどのようなものなのか、そして注目されるようになった社会背景について解説します。
SDGsとは
そもそもSDGsとは、Sustainable Development Goalsの頭文字を取ったものです。「持続可能な開発目標」の意味で、2030年までに地球全体で目指す世界目標を指します。SDGsの考え方は、
- 誰ひとり取り残さない
- 5つのP
- 経済、社会、環境の調和
を原則としています。それぞれ説明します。
・誰ひとり取り残さない
SDGsは、すべての人のための目標の達成を目指しています。不平等をなくす取り組みを進め、「誰ひとり置き去りにしない未来」を実現することを目標にしています。
・5つのP
SDGsは2030アジェンダに掲げられている5つのP、
- 人間(People)
- 地球(Planet)
- 豊かさ(Prosperity)
- 平和(Peace)
- パートナーシップ(Partnership)
に対応する分類となっています。人間、地球、豊かさ、平和のための目標であり、国際社会のパートナーシップにより実現を目指します。
・経済、社会、環境の調和
SDGsでは、経済、社会、環境を不可分のものとし、この3つが均衡した持続可能な開発を目指しています。
例えば、私たちが抱えている、世界平和や格差などの課題、また、気候変動などといった地球環境における課題は、経済成長や社会問題に深刻な影響を及ぼしています。このような状況を踏まえ、経済、社会、環境を調和させる取り組みとして、SDGsは作成されています。
SDGsの具体的な内容は、以上の考え方をもとに、17の目標と169の項目で構成されています。詳細は外務省HPに掲載されている「持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組」をご確認ください。
(※参考)公益財団法人 日本ユニセフ協会HP「SDGsの考え方」
SDGsの出発点
産業革命以降、人類は急速に経済発展を遂げました。しかし地球の資源をもとにした経済成長は、この100年で限界を迎えるという「成長の限界」が1972年にマサチューセッツ工科大学のデニス・メドウズ博士らにより発表されました。1987年にも、環境と開発に関する世界委員会から「我ら共有の未来」として、「持続可能な開発(Sustainable Development)」の必要性が書かれた報告書が公表されました。これにより、環境と開発を互いに反するものではなく共存し得るものとして捉え、環境保全を考慮した節度ある開発が重要であるという意識が高まりました。
SDGsの目指す先
次世代を考慮し、持続可能な世界の実現は継続的に議論されました。国際連合は2015年に行われた国連サミットにて、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を提案し、すべての加盟国がこれに合意しました。それ以降、日本でも多くの企業がSDGsに興味関心を寄せています。
(※参考)外務省HP「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択する国連サミット
SDGsで人事が取り組むべき4つの目標
SDGsの解決すべき目標のうち、特に人事と関係性が近い4つの目標を紹介します。
すべての人に健康と福祉を
この目標を達成するためのターゲットの一つとして、病気で命を失う人の割合を減らし、心の健康への対策を行うことが設定されています。この目標を達成するために企業ができることは、健康経営への取り組みです。
健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することをいいます。SDGsの達成にもつながる健康経営に関する取り組みとしては、フィットネスジムへ通う従業員への費用補助や、栄養バランスを考えた食事の提供・補助、健康に関する知識の研修実施などが考えられます。従業員に病気や体調不良が起これば、人材不足につながり、新たな人材を採用するコストが増え、生産性が低下するなどの損失をもたらします。そのため、企業にとっても健康経営への取り組みは非常に重要です。
健康経営について、さらに詳しく知りたい方は、「健康経営とは?目的やメリット「健康経営優良法人」について解説」をご覧ください。
人や国の不平等をなくそう
企業には、差別のない公平な採用や平等な労働環境の実現が求められています。過去には、育児や介護のために出世を諦めなければならない社員や、妊娠を機にキャリアが途絶えてしまう女性社員が多くいました。しかし現在は、社員の評価や処遇は能力と実績をもとに公正・公平に行う必要があります。年齢や性別、国籍の違いで処遇を変えない、同一労働同一賃金も求められており、差別をしない労働環境を構築する事が求められます。
ジェンダー平等
女性も活躍する社会を実現するために、企業にはダイバーシティの推進が求められています。男女平等を掲げていますが、日本では依然として男性優位の状態が続いている企業も残っています。あらゆる差別をなくし個人の多様性を認め、どのような人材でも活かす方向にシフトチェンジする必要があります。
働きがいも経済成長も
「若者や障がい者を含むすべての男女が働きがいのある仕事に就き、同一労働同一賃金を達成すること」がこの目標のターゲットに据えられています。企業の人事は、従業員の権利を守り、安心して仕事に取り組める環境の構築を行う必要があります。また、すべての従業員に対して能力開発の機会を提供するなど、仕事へのやりがいを持てる職場づくりを推進しなければなりません。
SDGsに人事が取り組む3つのメリット
ここまでは人事が取り組むべき目標を解説しましたが、SDGsに取り組むことで人事が得ることのできるメリットもあります。3つの切り口から紹介します。
雇用関連
SDGsに取り組むことで企業イメージが向上し、採用活動にも役立ちます。SDGsへの積極的な取り組みを通じて、学生に自社への興味を持ってもらえるかもしれません。 例えば、労働環境が改善されることで離職率が下がれば、学生へのアピールポイントとして使うことができます。また、先進的な取り組みを行い時代の変化にも柔軟に対応している企業は、優秀な人材や若い人材の興味・関心を引きやすい傾向があります。公正で平等な雇用と昇進、差別のない労働環境、ジェンダー平等に取り組む企業には、多様な個性と能力を持つ人材が集まるという雇用関連でのメリットがあります。
労働安全衛生関連
人事がSDGsに取り組むにあたって、労務は重要な役割を持っています。労働基準法や男女雇用機会均等法など、労働関連法の遵守がSDGsにつながっています。労働法を守る事はもちろん、時間外労働の短縮、同一労働同一賃金など、やるべき事項に合わせて、健康経営へ積極的に取り組む事で社外へのアピールもできます。「すべての人に健康と福祉を」にも繋がります。具体的には、健康診断の検診項目の拡充やシニア人材の活用など、さらにより良い職場環境を構築していく事で、SDGsの推進に繋がっていきます。
人材育成関連
人材育成・開発では、雇用形態や性別の垣根を越えた、平等な教育機会を提供することが求められています。スキルアップの機会を提供することで、働く技能を備えた若者と成人の割合を増やすことになり、SDGsの目標にある「質の高い教育をみんなに」の実現につながります。具体的には、研修や通信教育の提供が当たりますが、人材育成が充実すると社員の知識レベルも上がってくる傾向にありますので、必然的に企業の組織レベルも向上します。
人事のSDGs実施事例
実際に企業はどのような取り組みをしているのでしょうか?一例を紹介させてもらいます
事例1:富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は、事業活動と従業員への取り組みの両面から課題に取り組んでいます。従業員への取り組みでは、SDGsの「8.働きがいも経済成長も」に注力しています。企業が持続可能であるには、人が重要であると捉え、全ての従業員が自ら考えて行動に移し、成長と変化に挑戦する人材となるための環境整備や能力開発を推進しています。具体的には、エンゲージメントサーベイを用いた従業員意識の向上、階層別に体系化した育成プログラムの展開、能力に応じた評価・任用により活躍の機会を創出するといった取り組みを実施しています。
事例2:アクセンチュア株式会社
アクセンチュア株式会社は、「SDGs統合推進プログラム」と題して積極的にSDGs活動を進めています。人事関連では「Project PRIDE」という取り組みを実施しています。これは「自信と誇りを持ったプロフェッショナル」をゴールに設定し、「制度」と「意識」の両輪にアプローチして組織風土を改革するという取り組みです。経営トップも合わせた推進体制の構築とコミットメント、施策の仕組み化、テクノロジーの積極活用、文化・風土の定着の観点からフレームワークに沿って実践されています。この活動から、残業時間の減少、離職率の低下、有給所得率の向上、女性比率の向上といった成果も得られています。
事例3:株式会社ファンケル
株式会社ファンケルは、2018年6月にファンケルグループにおいて「サステナブル宣言」を策定しました。世の中の「不」を解消し、持続可能な社会の実現に貢献するとしています。重点テーマは環境・健康・多様性・ガバナンスの4点です。人事関連では、健康経営の推進が図られるとともに、研究職への裁量労働制の採用、在宅勤務制度やサテライトオフィスの導入、新たな休暇制度の導入、ストレスチェックの実施率向上などに取り組んでいます。このほか、「みんな違ってあたりまえ」をスローガンとしたダイバーシティの推進、障がい者雇用の促進にも取り組んでいます。
人事がSDGsに取り組む際の留意点
SDGsに取り組む際、これまでにはなかった課題と向き合う必要が出てくることがあります。また、潜在していた問題が表出化する可能性もあります。ここでは事前に考えておくべき問題を紹介します。
取り組むうえで直面する課題
SDGsへの取り組みは、長期的な展望であり、実際の収益にすぐに直結するわけではありません。そのため従業員側は、「実践する意義がわからない」と感じる可能性があります。そうなると、導入する側は「従業員への浸透がうまくいかない」といった課題にぶつかるケースも想定されます。特に昨今は、新型コロナウイルスなど世界情勢が不安定な状況であり、長期的利益より、短期的利益確保に奔走せざるを得ない企業もあります。
SDGsは他人事ではない。企業の未来を創るためにも理解が必要
SDGsは世界規模での課題に対する目標です。「企業は利益を追求する存在である」という考え方を、より大きな視点から捉えれば、世界という単位の社会問題に取り組むことで企業の存在価値が生まれ、対価として長期的かつ安定的な成長につなげることができます。SDGsは他人事ではなく、各企業の成長と発展に必要な取り組みです。リスクの低減や新規ビジネスの創出といった観点からも、真摯に取り組む必要があるといえます。
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