人材管理
2023/09/04
EVPの意味とは?注目される背景や導入効果、策定のポイントを解説
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人材獲得競争が激しくなる中、注目されているのがEVP(Employee Value Proposition)です。EVPの意味とは、企業が従業員に提供できる価値、ですが具体的にどういうものなのでしょうか?今回はEVPの概要や効果、具体的な事例を解説します。
EVPとは
EVPとは
EVPとはどういう意味なのでしょうか。まずはEVPの意味や、注目されている背景を解説します。
EVPの意味とは
EVPとは「Employee Value Proposition」の略で、日本語で「従業員価値提供」と訳されます。つまり、企業が従業員に提供できる価値のことを指します。EVPを高めることで、従業員エンゲージメントの向上や採用競争力の強化を行うことが可能です。
EVPが注目される背景
EVPが注目される背景が、「人材の流動性の高まり」です。2011年以降、転職者は増加し、人材の流動性は年々高まっています。そんな中、優秀な人材に選ばれる企業になるために、従業員に対してどのような価値を提供できるかを明確にし、発信することが重要になっています。従業員が「この会社にいたい」、求職者が「あの会社で働きたい」と思えるような価値を提供することで、優秀な人材を確保し、企業価値を向上させることにつながります。
EVPの例
人材の確保のために重要なEVPですが、どのような価値を提供すればよいのでしょうか。その内容は多岐に渡ります。例えば、
- ミッション、ビジョン
- 企業文化(カルチャー)
- 成長環境
- 職場環境
- 報酬、待遇
- 福利厚生
となります。わかりやすいのが報酬、待遇や福利厚生といった実際にお金や体験として得られる価値でしょう。一方、ミッション・ビジョンやカルチャーといった概念的なものもEVPになります。これらの概念的なEVPは、従業員が企業でモチベーション高く働く上で、重要な要素となります。
EVPの導入で期待される効果
EVPを実際に導入するとどのような効果が期待できるのでしょうか。ここでは、具体的に期待される効果について解説します。
企業理念等の浸透
1つ目が「企業理念等の浸透」です。企業理念等に沿ってEVPの設計を行うことで、従業員は提供された価値から企業の掲げる理念等を意識することができるようになります。また、企業が掲げる理念やミッション、ビジョン自体がEVPでもあります。そのため、企業理念等に従業員が価値を感じられるようになると、企業理念等が浸透してきていると言えるでしょう。
企業理念やミッションについて詳しく知りたい方は「ミッションとは?ビジョン・バリューとの違いから具体例まで解説」をご覧ください。
従業員エンゲージメントの向上
2つ目が「従業員エンゲージメントの向上」です。EVPが充実することによって、従業員は企業に対して高い価値を感じるようになります。高い価値を提供してくれる会社に対して、「もっと貢献したい」と思ったり、ミッションに共感することで「会社のミッション実現に向けて頑張りたい」と思ったりするように、従業員エンゲージメントの向上が期待できるでしょう。
従業員エンゲージメントについて詳しく知りたい方は「従業員エンゲージメントとは?向上施策・事例も紹介」をご覧ください。
採用競争力の向上
3つ目が「採用競争力の向上」です。EVPは社内の従業員に向けた価値提供であると同時に、求職者に向けた企業の価値アピールでもあります。求職者が他社に比べて、入社することで自分にとってメリットがあると感じられる価値を提供することで、採用競争力の向上につなげることができるでしょう。
離職率の改善
4つ目が「離職率の改善」です。企業に在籍していることで得られる価値が他社に比べて高いと従業員が感じるのであれば、離職率を減少させることができるでしょう。採用競争力の向上と合わせて、優秀な人材の確保が期待できます。
EVPの導入手順とポイント
EVPの考え方を取り入れ、実際に従業員に提供する価値を形にしていくにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、EVPを取り入れるための手順とそのポイントを解説します。
自社の分析
EVPを作成する手始めに、自社の分析を行いましょう。分析内容は、
- 職場環境
- 各種人事制度
- 福利厚生
- 企業文化
等です。現在、自社が従業員に提供している価値が何かを多角的に把握します。また、従業員が会社に対して何を求めているかを把握することも大切です。実際に従業員に対してヒアリングする等、より多くの人の意見を集めると良いでしょう。
他社の分析と比較
続いて、他社の分析を行い、他社と比較してどの点が優れていて独自性があるかを見極めましょう。他社と同じ程度の価値では、従業員や求職者は自社に対して特別な価値を感じにくいです。自社にしか提供できない価値は何なのか、自社の強みとは何かを見極め、EVPを考えていきましょう。
EVPの決定と導入
各種分析によって自社の強みを知ることができたら、その強みを活用する形でEVPを決定していきましょう。決定していく際には、人事部等の担当者だけでやるのではなく、現場や経営層等、多くの従業員を巻き込み設定すると、実効性の高いEVPを作ることが可能です。また、一度導入して終わりではなく、従業員の反応や求職者の増減等、反応を見て改良を重ねていきましょう。
EVPの従業員への周知
導入したEVPを従業員へ周知し、EVPを認識し、活用してもらえるようにしましょう。せっかく作っても従業員が知らない状態では、価値を提供できていないことと同義です。そして、社内の従業員だけでなく、外部の求職者等に対してもHPや説明会等の場を使って発信していきましょう。社内外に広く認識してもらうことで、初めてEVPの効果が期待できます。
EVPの企業事例
実際にEVPの考え方を取り入れている企業はどのような考えをもって価値を提供しているのでしょうか。その具体的な事例を紹介します。
ソニー株式会社
ソニー株式会社では、人材を”個”として捉え、個の自律性と挑戦を尊重し、会社と社員が対等な関係を前提に、「都度、お互いに選び合い、応え合う」企業文化を大切にしています。こういった企業文化や「個性あふれる多様な社員一人ひとりの生み出す価値を最大化する」という勧化方から、これまで多くの価値提供を従業員に行っています。例えば、
- 各種アワードの実施
- グローバルリーダー育成プログラムの実施
- 仕事とライフイベントの両立支援制度
等が挙げられます。
(参考)ソニー株式会社「人材」
株式会社日立社会情報サービス
株式会社日立社会情報サービスは、「教育制度」「ワーク支援」「ライフ支援」という3つの点から従業員への価値提供を行っています。教育制度においては、
- 個人に寄り添ったキャリア形成支援
- 事業を支える人財育成
- 各種資格取得支援
を用意し、従業員の教育に力を入れています。また、ワークとライフの支援制度を充実させることで、従業員が安心して長く働きやすい環境を提供しています。
(参考)株式会社日立社会情報サービス「EVP(福利厚生・教育)について」
日本マクドナルド株式会社
日本マクドナルド株式会社では、従業員が最も価値を置いていることをサポートし、より多くの価値を提供するプログラムを実行しています。その内容は多岐に渡りますが、特に従業員の育成制度に力を入れています。その内容を一部ご紹介すると、
- 最新の教育理論及び手法を用いて、人材育成に取り組むハンバーガー大学
- 価値あるアルバイト経験とするための仕組み
- 成長をサポートする評価制度
等があります。その他にも、ワークライフバランスの充実を目指した各種制度の整備や多様性を尊重する取組み等、多くの価値を従業員に提供しています。
(参考)日本マクドナルド株式会社「McDonald’s CSR Report 2017」
【まとめ】人材評価・タレントマネジメントをカンタン・シンプルに
今回はEVPについて解説しました。人材の流動性が高まる現在の市場において、優秀な人材を確保し、企業価値の向上を図る上で、EVPは重要な要素です。
自社が従業員に提供できる価値は何かをしっかりと検討し、企業価値向上を計りましょう。
評価制度を適切に運用することも、EVPの1つです。
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