リーダーシップとは?具体的7つの資質からリーダー研修まで解説
- リーダーシップとは
- そもそもリーダーシップとは
- マネジメントとの違い
- PM理論とは
- リーダーシップ6つの種類
- ビジョン型
- コーチ型
- 関係重視型
- 民主型
- ペースセッター型
- 強制型
- リーダーシップに求められる8つのスキル
- 仕事を明確にするスキル
- 計画するスキル
- 統率するスキル
- 支援するスキル
- 信念を伝播するスキル
- 行動するスキル
- コミュニケーションスキル
- 決断するスキル
- リーダーシップ研修とは
- 新卒向けリーダーシップ研修
- 中堅従業員向けリーダーシップ研修
- 管理職向けリーダーシップ研修
- 【まとめ】能力開発制度は人事評価との連動で従業員のモチベーションアップを
リーダーシップは企業の中で活躍するために不可欠な能力です。経営者やマネジメント層だけでなく、全員に役に立つ資質です。この記事ではリーダーシップを持つ人材を社内で育成し、マネジメントや人事評価面接などに活かす方法まで解説しています。
リーダーシップとは
企業の中で、ある程度の役職になると非常に重要になるリーダーシップ。ここでは、リーダーシップのそもそもの意味から、よく混同してしまいがちなマネジメントとの違いを説明します。また、リーダーシップ理論の中でも有名な「PM理論」についても解説します。
そもそもリーダーシップとは
企業でいうリーダーシップとは、組織のトップ、または各部門のリーダーとして、組織全体を牽引すること、もしくはメンバーを鼓舞できる能力のことです。指導力や統率力ともいい換えられます。
また、webio「人事労務用語辞典」では「リーダーシップ」を以下のように定義しています。
“『リーダーシップには明確な定義がなく、さまざまな捉え方がありますが、大きくは「物事を成し遂げる力」と解釈することができます。また、リーダーシップが必要となるのは集団で共通の目的・目標に向かう場面です。そのため、一人で成し遂げるのではなく、集団活動において発揮される力ということができます。』”
(※引用)webio:「人事労務用語辞典リーダーシップ」より
リーダーシップに関しては昔から議論がされています。古くは孫子にはじまり、最近では有名な経営学者のピーター・ドラッカーが提唱した「リーダーシップ論」で人々の関心がより高まりました。
ピーター・ドラッカー氏の「リーダーシップ論」では、リーダーはカリスマ性とは関係がなく、メンバーが自分から従うことだとし、「仕事・責任・信頼」という言葉で説明しています。
もっと詳しくピーター・ドラッカー氏の「リーダーシップ論」を含め「リーダーシップ理論」を知りたい方は「リーダーシップの種類や理論を解説。リーダーに求められるスキルとは」がおすすめです。
マネジメントとの違い
よく混同されるのが、リーダーシップとマネジメントです。ですが、この2つは似て非なるものになります。
リーダーシップとは、目標を明確にしてゴールまでメンバーを牽引していく力です。長期的なビジョンをメンバーに明示し、メンバーのチームワークを醸成します。
マネジメントとは、目標達成のための方法を考え、管理する力です。具体的に業務を遂行していく力ともいえます。中短期的な視点が必要です。
もっと詳しくマネジメントとの違いを知りたい方は「リーダーシップとは何か?マネジメントとの違いとリーダーシップの種類や理論を解説」がおすすめです。
PM理論とは
リーダーシップ理論の中でも有名なものが「PM理論」です。1966年社会心理学者の三隅二不二氏により発表されました。
PM理論は、集団機能の観点からリーダーシップに関して研究しようと始まりました。集団=チームを伸ばすための機能を考察していったリーダーシップ理論です。PM理論は以下の2つで構成されています。
目標達成機能(Performance function : P機能):目標設定と計画推進能力。
集団維持機能(Maintenance function : M機能):集団全体の人間関係を有効に保ち、維持する能力。
PM理論は日本発のリーダーシップ理論ですが、日本企業だけでなく、海外でも活用されています。
リーダーシップ6つの種類
リーダーシップと一口に言っても、たくさんのタイプがあります。「EQ(心の知能指数)」を確立したダニエル・ゴードマン氏はリーダーシップを6つのタイプで説明しています。ここではゴードマン氏の6つの型にあわせ、それぞれ解説していきます。
ビジョン型
企業が目指す目標やビジョンをメンバーに示し、進むべき方向性を明確にすることで、メンバーを牽引していくタイプです。
企業やチーム全体の帰属意識を高めることができます。
有名な逸話で、ソフトバンク株式会社の創設者の孫正義氏が、まだ従業員が2名しかいない時にみかん箱の上に立って将来ビジョンを語った、というものがあります。典型的なビジョン型のリーダーシップといえます。
コーチ型
リーダーがメンバーのコーチ的な役割を担い、1対1でフォローしていくタイプです。メンバーごとの強みを把握し、個性が発揮できるように業務を割り振ることで、メンバーのモチベーションをキープさせます。優れたリーダーがこれを行うと、チームのパフォーマンスが向上しますが、メンバーの意識がそもそも低い場合は、コーチを受けても響かないために向きません。リーダーが優秀なだけでなく、メンバーも優秀で、意識の高いチーム向きだといえます。
このコーチ型は新しい「1on1(ワンオンワン)」コミュニケーションとして注目が集まっています。Googleやマイクロソフトなどの大企業が導入しており、近年国内でもYahoo!など取り入れる企業が増えています。
もっと詳しくクラウド型の「1on1(ワンオンワン)」システムを知りたい方は「【基礎編】1on1とは?DX時代。リモート環境下の課題、進め方を解説」をご確認ください。
関係重視型
リーダーとメンバーの間だけでのやり取りではなく、メンバー同士の関係性も重視し、チーム全体での信頼関係を構築することで、目標達成を目指すタイプです。職場環境が良好になり、家族的な信頼関係が生まれます。お互いに助け合う環境ができ、好循環の時にはパフォーマンスを発揮しやすくなります。
しかし一方でトラブルがあった場合の対処や、厳しい決断をしなければいけないような場面では、お互いに本音がいいにくいなどの弊害も生じてしまいます。日本の残業文化もこの関係に根付いたものが多く、たとえば同僚や上司が残業しているのに自分だけ帰れないという暗黙のルールまで生まれてしまいました。
民主型
民主主義の民主と同じ意味です。リーダーが全メンバーの提案や意見を確認し、調整しながらチームの方向性や目標を決定していくタイプです。
リーダーだけでなく、メンバーからの新しい視点やアイデアが生まれやすく、メンバー全員のモチベーション向上が期待できます。しかし意見が分かれた場合など、結論までに時間がかかり決断のスピードが遅くなります。
ペースセッター型
リーダー自らが手本を見せ、メンバーに真似させていくタイプです。リーダーのスキルの高さも必要になりますが、同じことが再現できるメンバーのスキルも必要になります。
リーダーと同じレベルでできるメンバーは少ないために、結果リーダーがフォローしてしまう可能性があります。
強制型
強い圧力や地位といった権力で、強制的にメンバーを従わせるタイプです。強い決断力と、行動が必要な場合に向いています。リーダーは決断のプロセスなど一切部下に説明せず、命令だけでメンバーを動かします。リーダーにカリスマがない場合は、メンバーの反発がでやすい傾向があります。
実際に筆者自身も、EQ理論を取り入れて、本社従業員全員のサーベイを行った経験があります。リーダーのタイプにあわせた、メンバーの最適な組み合わせでよりパフォーマンスが上がるか実験してみようという提案を試してみたのです。結果、ある程度リーダーにあうメンバーが、すでに配置されていることが分かりました。組織は生き物で、日々の切磋琢磨や、人事評価が動いていれば最適な人材配置ができるということだと思います。
ただこの取り組みにより、どのタイプのリーダーが、どの部署に向いているかという指針が確認できました。リーダーにタイプがあると認識するだけで、人材配置や人事異動時の参考になります。
リーダーシップに求められる8つのスキル
リーダーシップを発揮するために求められる7つのスキルを紹介します。
仕事を明確にするスキル
目標達成のために明確な指示やビジョンを示し、メンバーの特性に合わせて業務を割り振る力が必要とされます。
計画するスキル
目標達成のために各マイルストーンを設定し、スケジュール化できる力は、最低限リーダーとして必要なスキルといえます。
統率するスキル
メンバー個々の能力に合わせて業務を割り振り、かつ率いる力です。多くのメンバーをまとめる必要があるため、業務上の能力が高いことはもちろんですが、スタッフがついていきたいとおもう、責任感や公平性も必要になります。
支援するスキル
メンバーのモチベーションのアップや、失敗のフォローなどをし、チーム全体で目標へのゴールを牽引できる力が必要です。
信念を伝播するスキル
ビジョン型のリーダーに近いことですが、リーダー自身の信念をメンバーに伝え、巻き込んでいく力が必要になります。単なる作業ではなく、なぜその仕事をしているのか、有益な目的や目標につながっているほど、人はやりがいを感じ、力を発揮します。
行動するスキル
リーダー自身が率先して行動し、スピード感をもってタスクを処理していく力が必要になります。行動力のないリーダーにメンバーは付いていきません。
コミュニケーションスキル
リーダーにとってメンバー全員の特性や個性を把握し、適切なコミュニケーションを取ることも必要な資質です。メンバー全員が気持ちよく働ける環境づくりは、パフォーマンスに影響します。
決断するスキル
決断には責任が伴います。このため決断するスキルは、リーダーの責任感とも関係してきますが、難しい決断でも決定できる力は大きなリーダーの資質になります。
従来リーダーシップは先天的な才能や資質、カリスマといったものが必要だと考えられてきました。しかし最近では後天的に経験や勉強によって、身につけられるものと捉えられるようになっています。
次項では企業内で行える「リーダーシップ研修」に関して紹介していきます。
リーダーシップ研修とは
近年社内でリーダーシップ研修を行う企業が増えました。またマネジメント層だけでなく、新卒者やリーダー候補への研修も行われています。ここではおすすめのリーダーシップ研修を3つ紹介します。
新卒向けリーダーシップ研修
企業ビジョンの共有や仕事の進め方を含めた研修が多くなっています。入社前、入社後、フォローアップのタイミングで行います。
組織で活躍する人材のイメージを与えることで、意識高く自ら業務改革に取り組む姿勢を作ることを目的とします。さまざまな研修がありますが、以下は参考例です。
目標や目的設定の方法
業務改善の方法
ロジックツリーなど原因追及の方法
リーダーシップ理論そのもの
中堅従業員向けリーダーシップ研修
すでにリーダーとして活躍している人材と、これからリーダーに昇格する人材に分けて研修を行います。
これからリーダーになるメンバーに関しては、リーダーとして求められる資質を理解してもらい、目指してもらいます。個々人がリーダー任せでなく主体的に動けるようになり、組織の活性化が見込まれます。
既存のリーダーになっているメンバーは、より具体的なチーム運営に関する研修を行います。管理職候補としてのリーダーシップと、マネジメントに関する知識を身につけることを目標にします。現在は前述した「1on1」や、コーチングのスキルを取り入れる企業もあります。
管理職向けリーダーシップ研修
管理職に向けたリーダーシップ研修は、組織運営だけでなく会社そのものの将来を考える機会にもなります。
人事にはさまざまな従業員の悩みが集まってきます。その悩みの多くが上司に関するものです。リーダーシップ研修を実施することで、フェアで魅力のあるリーダーが増えると企業全体の活性化にもつながります。
オンラインで完結する外部研修も増えており、人事としても利用しやすくなっています。利用の際は離職率の変化や、パフォーマンスの向上など定量・定性で効果測定することがおすすめです。
【まとめ】能力開発制度は人事評価との連動で従業員のモチベーションアップを
リーダーシップに関して、その概要から研修としての導入方法まで紹介してきました。生産性向上のためにも今後の事業戦略としても取り組みたい課題ですね。
リーダーシップを発揮するために欠かせなのが、透明性のある人事評価です。また最近はクラウド型の人事評価システムにすることで、簡単にコストもおさえて導入することが可能になりました。
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