人材マネジメントとは?6つの領域・構築の4ステップ・成功のコツを解説
人材データの一元管理を実現し、あらゆる人事施策の実行をサポート
- 人材マネジメントとは
- 人材マネジメントとは人を活かし経営目標を達成する仕組み
- 類似する概念との違い
- 取り組む目的・メリット
- 人材マネジメントが注目される理由
- 人材マネジメントの6つの領域
- 採用
- 育成
- 評価
- 処遇
- 配置
- 休職・復職
- 人材マネジメントを構築・運用する4ステップ
- 1.課題と必要な人材像を明確にする
- 2.自社の現状と不足部分を確認する
- 3.施策を立案し実行する
- 4.効果検証してPDCAサイクルを回す
- 人材マネジメントを成功させるコツ
- 多様な働き方に対応できる仕組みをつくる
- モチベーションとエンゲージメントを高める仕組みを用意する
- 人材情報を一元管理しデータで意思決定をする
- 人材マネジメントの事例
- 人材マネジメントの事例:楽天グループ株式会社
- 人材マネジメントの事例:株式会社オリエンタルランド
- 人材マネジメントを見直して組織力の最大化を目指そう
人材マネジメントとは、組織の目標達成に向けて、人材の採用や育成などを一貫して設計・運用する考え方です。
人材マネジメントによって、個々の能力や強みが発揮され、組織全体として高い成果を生み出せるようになります。
本記事では、組織力を最大化するための6つの領域と、勘や経験に頼らず戦略的に人材を活かすための4つのステップを解説します。
「採用しても定着しない」「評価制度が形骸化している」とお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
人材マネジメントとは
人材マネジメントとは、企業のビジョンの達成や実現のために、経営資源である「ヒト」の管理と活用をする人事戦略を指します。
ここでは、人材マネジメントについて、仕組みや類似する概念との違い、取り組む目的・メリットを詳しく解説します。
人材マネジメントとは人を活かし経営目標を達成する仕組み
人材マネジメントの本質は、会社の「どの方向で勝ちたいか」と社員の「どう成長したいか」をセットで捉え、採用・育成・配置を通じて組織目標の達成を狙うことにあります。
単に空いたポストを埋めるのではなく、経営戦略に必要なスキルを明らかにし、そのスキルをもつ人材を獲得・育成し、柔軟に配置していく点が特徴です。
とくに近年は、固定的な「役職」ではなく、変化に対応しやすい「スキル」を基準に人材を動かす考え方が重視されており、これは不確実な環境を勝ち抜くための攻めの人材戦略といえます。
類似する概念との違い
人材マネジメントと類似する概念として、人事管理があります。人事管理との違いは、人を消費するコストと見るか、価値を生む資本(リソース)と見るかという視点です。
この違いは、現場の運用において以下のような差となって現れます。
比較項目 | 従来の人事管理 | これからの人材マネジメント |
|---|---|---|
人の捉え方 | 管理・削減すべき「コスト」 | 投資して価値を生む「資本」 |
主な役割 | 給与計算・勤怠などの事務処理 | 戦略的な採用・育成・適正配置 |
スタンス | ミスなく運用する「守り」 | 事業成長に貢献する「攻め」 |
人材マネジメントの本質は「攻め」への転換です。人事管理が担う業務の枠を超えて、人への投資を通じて戦略的に企業価値を向上させる役割が求められています。
取り組む目的・メリット
人材マネジメントに取り組む目的やメリットは、社員の誰もが主体的に意見を出し合える状態と企業の競争力を両立させることにあります。
短期的には、公平な評価やルールづくりによって「なぜあの人が評価されるのか」という不信感を減らし、相互信頼にもとづく組織文化を構築することが重要です。
中長期的には、事業に必要な人材を計画的に育て、次世代リーダーや専門人材を確保することで、離職を防ぎつつ競争力の高い組織づくりにつなげていくことが目的となります。
人材マネジメントにより、適材適所が実現し組織の生産性が向上するというメリットも期待できます。
人材マネジメントが注目される理由
人材マネジメントが注目される背景には、4つの変化があります。
「人に投資すること」が企業の成長や競争力を左右する時代になった
社外に対して「人をどう育て、どう活かしているのか」を説明する必要性が高まっている
「誰をどこでどう活かすか」を考え直す動きが強まっている
優先順位をつけて投資すべき領域を判断する必要性が生まれている
人手不足や事業環境の変化が続く中で、採用して終わりではなく、育成・配置・評価を一貫して設計し、成果につなげる仕組みが求められています。
近年は、人的資本に関する情報開示が進み、社外に対して「人をどう育て、どう活かしているのか」を説明する必要性も高まっています。これにより、人事施策が社内の運用にとどまらず、企業価値を支える取り組みとして位置づけられるようになりました。
さらに、仕事のやり方が固定化しにくくなり、役職や職務だけでは人を捉えきれない場面が増えています。そこで、職務よりもスキル・能力・経験を軸に、「誰をどこでどう活かすか」を考え直す動きが強まっています。
一方で、施策を闇雲に増やしても現場が疲弊するだけです。限られた人員・予算の中で効果を出すには、離職率・生産性・育成の進捗などのデータを見ながら、優先順位をつけて投資すべき領域を判断する必要があります。
このように、環境変化・説明責任・スキル重視・投資判断の4つが重なり、勘や経験に頼るのではなく、戦略とデータにもとづいて人を活かす人材マネジメントの重要性が高まっています。
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人材マネジメントの6つの領域
人材マネジメントの以下6つの領域は、人を採用してから流れとして設計・連携させることが重要です。
採用
育成
評価
処遇
配置
休職・復職
個々の領域をバラバラに実施するのではなく、採用方針が育成・評価・配置とどうつながるかをデータで確認しながら運用することが、組織力を最大化するために重要です。
採用
採用のゴールは、単に欠員を埋めることではなく、経営戦略の実現に必要なスキルを持った人材を確保することです。
現場の「なんとなくよさそうな人」ではなく、必要なスキルを具体的に定義し、面接項目や選考基準に落とし込むことが欠かせません。
一方で、最初から完璧な人材を求めすぎると母集団が集まらないため、入社後の育成で補えるスキルは要件から外し、必須条件を最小限に絞るという柔軟さも必要です。
育成
育成とは、会社が求める期待値と社員の現状にある、スキルのギャップを計画的に埋める活動です。
評価によって特定された個人の弱点を、eラーニングやOJTを通じて効率的に強化するプロセスが求められます。
会社側の一方的な押し付けではなく、本人のキャリア志向とのすり合わせを行い、学びたい気持ちを引き出すことが育成の前提になります。
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評価
評価制度の本質は給与決定の手段ではなく、社員に望ましい行動を促し、組織を正しい方向へ導く羅針盤です。
売上などの成果のみならず、それを支える再現性のある行動をセットで評価する視点が欠かせません。
現場のマネージャーには、頑張っているではなく、この行動がこの成果につながったと事実ベースで伝えるスキルが求められます。
また、評価者ごとの基準のバラツキは不信感に直結するため、キャリブレーション会議(目線合わせ)を定期開催し、組織としての公平性を担保することが重要です。
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処遇
処遇(報酬)とは、給与や賞与、福利厚生など、働きに対して企業が提供する対価と待遇です。
評価された成果や役割が公平に報酬へ反映されるように基準を明確にし、その内容を従業員にわかりやすく伝えることが重要です。
配置
配置とは、従業員のスキルや経験、キャリア志向などを踏まえて、人員の配置をすることです。
それぞれが力を発揮しやすいポジションに就くことで、モチベーションやエンゲージメントが高まり、結果として組織全体の生産性向上につながります。
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休職・復職
人材マネジメントにおける休職・復職とは、病気や出産・育児などの事情により一時的に仕事から離れることと、その後職場に戻ることを支える仕組みを指します。
必要なときに安心して休職でき、復職時には働き方や業務量を調整しながらスムーズに戻れるようにすることで、従業員が長く能力を発揮し続けられる環境づくりにつながります。
人材マネジメントを構築・運用する4ステップ
人材マネジメントを機能させるには、以下の正しい順番で設計して回し続けることが重要です。
- 課題と必要な人材像を明確にする
- 自社の現状と不足部分を確認する
- 施策を立案し実行する
- 効果検証してPDCAサイクルを回す
このプロセスを確実に踏むことで、現場の疲弊を防ぎ、経営に貢献する「生きた仕組み」を構築できます。
1.課題と必要な人材像を明確にする
最初のステップは、経営戦略を遂行するために、どのような能力を持つ人材が必要かを定義することです。
「新規顧客を開拓できる営業」「データに基づき施策を改善できるマーケター」など、具体的な役割や期待する成果を明らかにし、それを支えるスキル・経験を要件として定義します。
このように、自社の戦略や解決したい課題から必要なスキルと人材のイメージを逆算すると、人材マネジメント全体の判断軸がぶれにくくなります。
2.自社の現状と不足部分を確認する
目標と課題の設定ができたら、現状との不足部分を照らし合わせましょう。
たとえば、現在の従業員の人数や業務スキルを考慮して、目標達成ができるかを判断します。
マンパワーになっていたり、スキル不足などのギャップがあれば、人員補充、人事異動、人材育成などによって組織内の業務適性化に努めるようにしましょう。
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3.施策を立案し実行する
自社の現状とのギャップを埋めるための施策を具体的なスケジュールに落とし込んで実行する段階です。
マネージャー個人の裁量に任せきりにせず、組織としてスケジュールを検討し、以下のような年間サイクルを仕組み化し、定常的な業務として組み込むのが効果的です。
時期 | 実施するアクション | 狙いと効果 |
|---|---|---|
四半期初 | 目標設定 | 経営戦略を個人の目標へ具体的に落とし込む |
月次 | 1on1(定期面談) | 進捗確認と、タイムリーな動機付け・軌道修正を行う |
四半期末 | 評価・レビュー | 公平な目線あわせを行い、納得感を醸成する |
半期 | プランの更新 | 状況変化にあわせ、配置や育成計画を最適化する |
このようにスケジュールを決めれば、日常業務に埋もれず人材マネジメントの運用を習慣化しやすくなります。
4.効果検証してPDCAサイクルを回す
最終ステップは、実行した施策が生産性向上や離職率低下といった、経営成果に直結しているかの検証です。
単に研修を実施した回数などの活動実績に満足せず、それによって組織がどう変わったかという成果を重視します。
期待通りでなければPDCAを回して思い切って施策を見直しましょう。
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人材マネジメントを成功させるコツ
人材マネジメントを成功させるコツは、個人の力を引き出しつつ、組織の成果にきちんとつなげる仕組みを用意することです。
そのためには、以下の3つのポイントをおさえましょう。
多様な働き方に対応できる仕組みをつくる
モチベーションとエンゲージメントを高める仕組みを用意する
人材情報を一元管理しデータで意思決定をする
これらのポイントをどのように実務に落とし込むべきか、具体的なコツや要点を解説します。
多様な働き方に対応できる仕組みをつくる
多様な働き方への対応は、固定された職務で人を管理するのではなく、スキルを軸にした柔軟な適材適所へ転換し、人材をより活かすためのマネジメント手段となります。
個人の意欲と組織の期待を対話ですり合わせ、双方が納得できる役割を再定義することで、成果とエンゲージメントの両方を高められます。
モチベーションとエンゲージメントを高める仕組みを用意する
モチベーションとエンゲージメントを高めるには、売上などの結果だけでなく、プロセスを評価することが大切です。成果の過程を評価されることで、本人は成長実感を得やすくなり、組織への貢献意欲も高まります。
そのために、マネージャーが適切なフィードバックができるように、定期的な1on1などを通じて期待する役割と行動をすり合わせられる体制を整えましょう。
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人材情報を一元管理しデータで意思決定をする
人材マネジメントの精度を高めるには、スキルや評価などの人材情報を一元管理し、感覚ではなくデータにもとづいて採用や育成などを判断できる状態をつくることが重要です。
人材データを一元管理することで、「誰をどこでどう活かすか」「誰にどんな成長機会を渡すか」を客観的に検討でき、属人的なマネジメントから、組織として再現性のある人材マネジメントへシフトできるでしょう。
人材マネジメントの事例
人材マネジメントの事例とあわせて、人材マネジメントを導入した際に起こりうる課題と対策について確認してみましょう。
人材マネジメントの事例:楽天グループ株式会社
楽天株式会社は、さまざまな国籍の従業員を採用し「グローバル化」への取り組みを行っています。
従来は、日本人の採用が中心でしたが、従業員の約2割が外国籍人材とされ、国籍数は100超です。
企業が目指すビジョンと照らし合わせ、求める人材を育成しています。
人材マネジメントの事例:株式会社オリエンタルランド
株式会社オリエンタルランドは、日本国内最大のテーマパーク「東京ディズニーランド・リゾート」を運営する企業です。
キャストと呼ばれる従業員の、おもてなしと接客技術の高さの秘訣は、人材マネジメントのひとつである「マジカルディズニーキャスト」の制度が大きく影響しているでしょう。
「マジカルディズニーキャスト」とは、日常の行動を称える取り組みであり、キャストが何かよい行動をしたときに、上司がキャストにカードを渡して褒め称えることもあります。
カードを渡されたキャストは、頑張りを認められた事でモチベーションがアップし、結果として、お客様によい接客やおもてなしができます。
他にもファイブスタープログラムと似た制度として「スピット・オブ・東京ディズニーリゾート」「サンクスデー」などが挙げられます。
(参考)オリエンタルランド「OLCグループ CSR REPORT 2018」
(参考)オリエンタルランド「企業風土とES活動」
人材マネジメントを見直して組織力の最大化を目指そう
人材マネジメントは、経営戦略と一人ひとりの成長をつなげる未来への投資です。
勘と経験に頼る人事から脱却し、6つの領域を線でつなげることで、人的資本経営への対応と組織パフォーマンスの最大化を実現できます。
まずは自社の現状を正しく可視化し、現場の納得感を高める公平な評価運用と、日常的な対話を定着させることからはじめましょう。







