#人材管理
2022/01/13

人事制度の構築に必要な要素や構築手順を解説!

目次

    人事制度とは

    人事制度とは

    人事制度とはどのようなものなのでしょうか。人事制度が企業にとってどういった位置づけにあり、なぜ人事制度が必要なのかという概略を紹介いたします。

    人事制度の必要性

    人事制度とは、企業が人材を管理するための仕組み全般のことを指します。近年では「従業員の処遇を決定する仕組み」に絞って人事制度という言葉を使うことが多いですが、本来の人事制度はより広義で、企業の競争力や価値を向上させる組織構築や従業員の意欲・能力を向上させる仕組みを制度として体系化したものを指します。よって、人事制度は企業ミッションを達成するために必要不可欠な制度と言えます。

    企業理念、経営理念と人事制度

    企業がどのように今後発展をしていきたいか、その指針となるものは経営理念です。これをもとに、経営戦略や財務戦略が練られますが、同じように人事戦略も立てることで、人事制度を経営戦略に結びつけより企業に合わせた制度をつくることができます。

    人材活用、人材育成、法対応と人事制度

    人事制度には、どのように人材を配置し教育していくか、人材をどのように活用していくかということも含まれます。また、労働法規関係への対応もあるため、常にブラシュアップを行い、環境に合わせて制度を変化させていく必要があります。

    人事制度の構成要素

    人事制度の構成要素

    一言で人事制度といっても、さまざまな制度が重なり合ってできています。一つずつ紹介します。

    等級制度

    等級制度は、一定の基準によって、従業員を等級で振り分ける制度です。主に、職務、職能、役割の3つに分類され、等級は組織における賃金管理や人材配置に活用し、等級制度には社員の序列をつけるものではなく、成長のステップを示すものとして設定されます。

    評価制度

    評価制度は、従業員の仕事へ取り組む姿勢、能力、成果、貢献度などを一定の基準で評価する制度です。社員を査定するものではなく、人材育成の機会として機能させていきます。評価制度についてより幅広く知りたい方は「会社の評価制度の実態とこれから求められる評価制度とは」をご覧ください。

    報酬制度

    報酬制度は、従業員に対して支給する報酬を定める制度です。報酬は大きく「金銭的報酬」と「非金銭的報酬」の2つがあります。「金銭的報酬」は給与、賞与、退職金などを指し、「非金銭的報酬」は仕事、権限、学習機会などを指します。

    人材活用制度

    人材活用制度とは、昨今の働き方改革や新しい生活様式といった社会情勢の変化に対応したりするための制度です。育児や介護をしている社員のワークライフバランスのための短時間勤務制度や在宅勤務制度、最近は、新型コロナウイルス感染防止のため、在宅勤務制度が急激に広がりました。

    その他(労務管理や研修)

    労務管理は、勤怠管理や給与計算、社会保険事務手続きといった法令で決められている手続きを社内で行うことを指します。

    勤怠管理は、長時間残業の抑止、給与計算や社会保険事務手続き等も含まれます。

    教育制度は、社員のスキルアップや管理職の育成など、社員個人の職務やキャリアプランに併せて育成するための制度です。社内での実務を通じて行われる方法や、他社と連帯して社外へ研修に行ったり、講師を招いたりする方法などもあります。研修についてより幅広く知りたい方は「研修で企業の問題を解決!具体的な手法と研修の制度設計について解説」をご覧ください。

    人事制度の構築手順

    人事制度の構築手順

    人事制度を構築するうえでどういった順番で進めていけばいいか、その手順を説明します。

    現状分析

    人事制度の策定を始めるにあたって、まずは自社の現状を分析して、解決すべき課題をはっきりさせるところから始めます。具体的に「どの属性の社員の」「どういった事が」「どのように問題であり」「理想はどのような状態である」等をはっきりさせるところから始めます。分析は、定量分析、定性分析の両方の視点から進めます。

    基本方針の検討

    人事制度は、経営理念・経営戦略との一貫性がなければ機能しません。自社のあるべき組織構造や企業風土、人材要件をポリシーとして定め、それを実現する手段として人事制度を考えます。このタイミングで制度の方針と大枠をまとめておきます。制度の詳細を意思決定していくにあたり、時折方針書に立ち返ることで、意思統一がしやすくなり、人事制度の軸がブレにくくなります。

    制度の詳細設計

    人事制度の中心となる3つの柱を設計していきます。「等級制度」「人事評価制度」「賃金制度」の順につくることが多いです。

    制度の導入シミュレーション

    新しい制度のもとで、人件費や賃金がどのように変化するのかシミュレーションをします。社員個別賃金と総額人件費の両方について、大幅な変化がないか検証します。ここで狙い通りの結果が得られるまで、設計の微調整を行います。

    新しい等級制度に社員一人ひとりを当てはめ、賃金がどのように変化するかを見ます。賃金が下がる社員に対しては移行措置を設けます。賃金の減額は、法的に不利益変更になる可能性もあるため、慎重な確認と判断が求められます。次に、全人件費が一定の範囲に収めることができているかどうかを見ます。許容可能な人件費でなければ、会社経営が危ぶまれます。導入後数年は人件費が上昇しますが、その後は落ち着いているか、制度変更により昇給額が増えすぎないかどうか等を確認します。

    運用開始

    完成した制度をまとめた「人事制度ガイドブック」を作成し、説明会を行い、制度の理解・浸透を図ります。

    定めた方針に沿って「我が社は社員に対してこのように考えます」といったメッセージを打ち出すことで、社員は制度の変化を受け入れやすくなる傾向にあります。加えて、質疑応答やアンケートを実施し、社員の疑問や不安を一つひとつ丁寧に解消していくことが必要です。新人事制度の運用を始めると、問題となるのは、評価者の評価スキルや面談スキルの不足です。制度導入時には「評価者研修」を行い、新しい評価基準を浸透させ、評価力や面談力強化を図りましょう。

    人事制度は、導入が「はじまり」であり、この後にある運用こそが「本番」です。はじめから完璧な制度というものはなく、実際に使ってみると微調整を要する部分が必ず出ます。先に述べたように「動かしながら修正していく」という考えのもと、細やかな手入れを続けていくことで、だんだんと制度が機能していくようになるのです。

    人事制度構築の手法

    人事制度構築の手法

    人事制度構築の方法について、外部コンサルタントを利用する場合と、自社内で構築する場合に役立つ書籍について紹介していきます。

    人事制度構築コンサルティング

    人事制度導入コンサルタントが提供できる価値は主に専門性と客観性の2点であると考えます。

    専門性
    組織データ、人や組織を見立てるフレームワーク、他社事例などを元に専門的な観点からアドバイスが得られます。社内で合意形成を図る際に人事制度コンサルタントは根拠となる考え方を提示できるため、正解のない人事制度設計においては欠かせない存在であると考えます。

    客観性
    データや情報を元に考える人事制度コンサルタントが介在することで、社内の人材だけでは分からなかった問題や課題を知ることができます。外部の視点を取り入れることで認識していなかった問題や課題に気づきやすくなります。

    人事制度構築の書籍の紹介

    書籍から学ぶ上でのメリットは、外部にコンサルティングを依頼するよりもコストを抑えられることや、内容がまとめられていることです。空き時間に学ぶことができるのもメリットの一つでしょう。

    書籍は、人事制度の基礎から学び、全貌を理解したいときに適しています。全く人事制度について知識がないときには教科書としても使われている良書を読むと効率的に学習できるでしょう。また、人事制度に関する本には歴史や過去の事例がまとめられています。人事制度のあり方は時々刻々と変わってきていますので、過去の人事制度のケーススタディが書かれている本は多く、成功や失敗から学んで制度を考えることが可能です。

    紹介書籍
    自社内で人事制度を構築する際に、参考になる書籍をいくつかご紹介します。

    社員が成長し業績が向上する人事制度】(著:松本順市、出版:日本経営合理化協会出版局)
    年商3億の5K職場が年商175億円(1部上場)となった原動力である人事制度の作り方を分かりやすく解説しています。

    先進企業の新人事制度事例集】(著・出版:労務行政研究所)
    人事制度を取り巻く環境が大きく変化している中で、これからの制度改革の方向性を解説し、人事制度を改定した12社を厳選して紹介しています。

    名著17冊の著者との往復書簡で読み解く 人事の成り立ち】(著:海老原 嗣生 ,荻野 進介、出版:白桃書房)
    本書は、人事ジャーナリストが日本型雇用の誕生を紐解き、時代の流れを通して、経済・社会の激変の中で、どのような問題が起こり得るのかを紹介しています。

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    HR大学編集部
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